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尾野 帝の日常(君は・アホか)
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俺の愛車
マツダの赤いプレマシー
顔が『ニカッ』と笑ったように見える
愛嬌のある車にエンジンをつけて
外で恭介が現れるのを待つ
「きゃあ、あの人かっこいー!」
「声かけてみる?」
腕を組みながら
車体に寄りかかり
目をつぶって俺は
「……………やっぱやめよ」
デレデレしていた
『あなたが………好きです』
かっこええ……真柴くん………
高校生やのに……………
どうすんねんな、俺…………
『仕事終わったら電話する』
そう言って別れたものの
もうすでに
君の声が聞きたい………
「お待たせ……」
恭介が手を上げながら
メガネっ子を連れて現れた
「30分押してる、はよ乗りや」
俺は運転席に回り
ドアに手をかける
「椎名…………」
恭介はメガネっ子を抱きしめた
………ええなぁ……
俺も抱きしめられたい………
「先輩、早く行かないと………」
「うん………」
離れたくない
気持ちはわかる
はは……
高校生の恋愛に自分を重ねて
アホか俺は………
……………ん?あれ?
そういえばこのメガネっ子……
どっかで会うたような…………
どこやったっけ………
…ん―――…………まぁええわ
はぁ………真柴くん………
会いたい………
「………野さーん」
あれ?
なんか今、真柴くんの声が……
気のせいか
「尾野さー…ん」
気のせいやない………
俺は体を半分入れていた運転席から飛び出し
キョロキョロと辺りを見渡した
あれは…………
校舎のほうから
俺のサングラスと帽子を片手に
笑顔で手を降りながら
こちらに走ってくる
真柴和臣の姿が目に飛び込んできた
「忘れ物です!」
……………アホかっ!!
そんなもんぶら下げて来たら
恭介にバレるやろが!
つか、それは君に会う口実作りで
ワザと置いてきたんやっ!
親切に届けて
どないすんねんっ!
………あ―――!
そうやった…………
君は10円玉を拾っても
警察に届けるような奴やったな!
クソっ…………
バッと勢いよく
恭介の様子を確認する
「椎名……離れたくない………」
よし、メガネっ子に夢中で気づいてない!
「……あれ?今、真柴先輩の声が……」
メガネっ子!
お前が気づくんか――――――いっ!
「き、恭介!何してんねん!
はよ乗らんかいっ!」
「え―――もうちょっと………」
「先輩、今、真柴先輩の声が……」
………あっか――――ん!!
俺は持っていたキーのボタンを
カチカチと押して部座席のドアを開けると
まだ開ききっていないドアに
メガネっ子ごと恭介を蹴り入れた
「尾野さん!待ってください!」
うるさいっ!
お前が大人しく待っとけ!
俺は運転席に乗り込み
後部座席が閉じる間も惜しみ
ピピピと警告音が鳴り響く中
エンジン全開で
車を猛発進させた
よいこのみんなは
ちゃんとドアを閉めてから
発進しようね!
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