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尾野 帝の日常(彼女は・哀鬼)
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恭介らが出ていくと
西園寺 奈津美は
タバコを口に咥えた
俺が火をつけようとすると
手でそれを制する
「人からつけてもらうと
出世しないのよ?」
「はは、欲深いお人ですね
まだ名声を
得るおつもりですか」
大女優は妖艶に微笑んだ
「あれでも昔はもっと可愛かったし
私に懐いてたのよ
いつの間にか、
私の人間関係に
歪んでしまったみたいね………」
「…………損な役回りですね」
「何のこと?」
「息子さんのために、
『恭介お気に入り』を業界に宣言し
恭介に
変な虫が付かんようにしたんと
…………違いますか?」
『西園寺 奈津美』ほどの人が
無名の新人を囲うなんて
つまらん戯れはせぇへん
おかしいとは思いつつも
利害が一致していた分
特に理由は考えんかったけど
まさか、息子のためやったとは
しかも
メガネっ子が息子やなんて………
ビックリ過ぎるわ
「さぁね………
恭介を気に入ってたのは事実だし」
「親の愛は偉大、ですね」
「………息子は私に嫉妬して
私は恭介に嫉妬してた……」
ふ――………と憂いだ煙を
口から出しながら
西園寺 奈津美は遠くを見た
「母親の私に目もくれない息子の目を
一瞬で奪ったんだもの………
……………許せないわ
やっぱり干しちゃおうかしら」
「はは、か、堪忍してください……」
「冗談よ」
お―――――……こわ
この血が
あのメガネっ子にも流れてるんかぁ………
恭介
御愁傷様………
「さて、と………私、帰るから
春馬に伝言、お願いできる?」
――――――しばらくすると
「息子さんを俺にくださいっ!」
恭介が土下座しながら
滑り込んで転がっていった
「………俺に息子はおらんぞ」
「は、え?………奈津美さんは?」
恭介は仰向けになりながら
顔だけをこちらに向け尋ねた
「待ちくたびれて帰ってもうたわ」
「ウソ!怒ってた!?」
「カンカンやったで?」
「うわぁ………マジかぁ――――………」
恭介は両手で顔を隠した
ま、このくらいの仇は取ったらな……
暫くは
『西園寺 奈津美』の影に怯えるこっちゃ
「メガネっ子、
お前のオカンから伝言預かってるぞ」
俺はドアに寄りかかりながら
恭介の様子をジトッと見ているメガネっ子に
『西園寺 奈津美』からの伝言を
原文ママ伝えると
二人は揃って絶句し、
絶叫した
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