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『不倫相手』と『夫』
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「恭先輩!?」
「……………」
僕が名前を呼ぶと
先輩は目だけを動かして
僕を見つめた
先輩だ、本物だ!
嬉しい!
でもしばらく
会えないって言ってたのに……
もう『しばらく』は
終わったのかな!?
会いにきてくれるなんて
会えるなんて思わなかった僕は
不機嫌に眉間にシワを寄せている
恭先輩でもお構いなしに
嬉しくて触れたくて
走り寄った
先輩もゆっくりと
僕の方へ歩いてきたけれど
近づいた僕を手で制し
僕を通り過ぎて
昴の前で立ち止まる
………………あれ?
「君、もしかして
『周防 恭介』くんじゃない?」
「だったら、何か」
先輩はジャケットのポケットに
突っ込んでいた手を取り出し
胸の前で腕を組んだ
「うわぁ、ホンモノ!?
カッコい――――い!
春馬、いつの間に仲良くなったの?」
「………『春馬』………?……」
僕は文化祭での山下の事件を思い出して
慌てて二人の間に割って入った
「昴!遅刻するよ、早く行けば!?」
「……『スバル』………………」
何だか恭先輩の眉間のシワが
どんどん深くなってるような………
気に障るようなこと
言っちゃったのかな………
昴は恭先輩の様子に
面白そうに微笑んだ
「僕は『柊木 昴』
いつも……
『妻』が大変お世話になっております」
昴は深々と頭を下げた
「は、はぁ!?何、その『妻』って!
いい加減なこと言わないでよ!」
僕は恭先輩がいつキレるか
ヒヤヒヤしながら
昴を思いきり蹴飛ばした
「先輩………ちがいます、昴は」
「こちらこそ」
昴との関係をちゃんと説明しようとした
僕の言葉を
先輩は自分の言葉を重ねるように
拒絶した
「申し訳ありませんでした
…………朝っぱらから
『不倫相手』の顔なんか拝ませてしまって」
先輩はそう言うと
組んだ腕を解いて
見たこともないくらい
爽やかにニッコリと笑いながら
昴と同じように
深々と頭を下げた
……………………
どうしよう…………
めちゃくちゃ怒ってる………
「春馬」
「何だよ!早く行けって………ば……」
昴はオロオロと焦る僕に近づき
耳元に唇を近づけ
「今日は帰るの遅くなるから
先に………俺のベッドで寝とけよ?」
先輩に見せつけるように囁いた
「じゃ、ごゆっくり……『不倫相手』くん」
昴は最後まで余計な言葉を撒き散らし
背伸びしながら去っていった
「……………………」
「……………………」
『昼ドラ』を連想させるような
『タイトル』ばっかで
おかしいなぁ、とは思ってたけど……
付き合って7日目
出来立てホヤホヤの
ラブラブなはずなのに………
早くも修羅場…………
どうしよう…………
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