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言い訳させてよ……
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無言のまま
大股で歩く先輩の後ろを
小走りしながらついていく
「せ、先輩!」
「…………………」
「違うんです!昴は僕のいとこです!」
「…………………」
どうしよう…………
どうしよう……………
せっかく久しぶりに
先輩と会えたのに………
ケンカなんてヤダよ………
「今、家に、居候してて……っ!」
先輩は急に立ち止まり
振り返って
じっと僕を見たあと
目を閉じて顔を片手で覆い
深くため息をついた
「あの……っ…」
僕の呼び掛けを払うように
首を横に振り
なんの言葉を発することなく
また大股で歩き始める
「…………………」
…………どうして
何も言ってくれないの?
沈黙よりも
罵られた方がマシだ
このまま別れたら
本当の別れになっちゃうかもしれない
そう考えただけで
僕の血の気がどんどん引いていく
ちゃんて僕を見てよ………
先輩しか好きじゃないよ
先輩しかいらないのに………
「恭先輩!」
前に回り込んで
恭先輩の行く手を阻む
けれど、先輩は
「触んな」
僕を軽やかにかわして
スピードを変えることなく
歩き続けた
なんだよ………
自分だって散々
浮気してきたくせに………っ!
先輩は大通りに出ると
タクシーを呼び止めた
――――ウソ……………
先輩が、いっちゃう…………
もう…………ダメなの?
やだ………やだ………
恭先輩………………
…………………………
「言い訳もさせてくれないなんて
…………ひどいよ……………」
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