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恋のレッスン?【side/椎名 春馬】
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一人で帰れると言った僕を
不安そうに見つめる
真柴先輩の視線に負けて
家まで
送ってもらうことにした
『俺を精神崩壊させる気か!?
大人しくしてろ!このバカが!』
保健室で休んでいるときに
かかってきた恭先輩からの電話……
怒鳴りながらも
泣いているような恭先輩の声が
耳に痛く突き刺さったままだ
はぁ………
先輩を守るつもりが
心配かけちゃったな………
真柴先輩の少し後ろを歩きながら
首もとを手で触った
少し前までは
恭先輩に愛された痕跡が残っていた場所に
絞められた時のアザが
赤黒く染み着いている
怖くはなかったけれど
坂崎直人に触られたことに
すごい嫌悪感で
吐きそうだった………
「………大丈夫か?」
そんな僕の様子に気づいた真柴先輩が
心配そうに振り返った
「ふふ……真柴先輩
それ何回目ですか?
耳にタコができちゃいますよ」
真柴先輩は
ふっと優しく笑うと
「少し、話をしないか?」
そう言って
真柴先輩はすぐ横の公園のベンチを指差した
僕も真柴先輩と………
というよりも、
なんだか一人になりたくなくて
喜んで承諾する
真柴先輩は
公園の入り口に設置された自販機で
ジュースを2本購入すると
僕をベンチに座るよう促し
僕が座る間にフタを開けて
タイミングよく渡してくれた
「ありがとうございます」
真柴先輩って、
きっとスゴくモテるんだろうな………
彼女いないっぽいけど、
もしかして
恭先輩のことが、好きなのかな………
「恭介と、会えてないのか?」
突然、真柴先輩の口から
恭先輩の名前が出てきてビックリした僕は
ワタワタしながら答えた
「いえ!け、今朝、会いました!
でも10分くらいですけど、
半分喧嘩っぽくなっちゃって……
だから会えてないっていうか、
仕方…………ありませんよね」
「…………………」
真柴先輩は
じっと僕の目を見たあと
「やっぱり、お前たちは似た者同士だな」
奇想天外なことを言った
「げほっ!ごほっ……
僕と恭……周防先輩がですか!?
ぜ、全然似てませんよ!」
真柴先輩の言葉に
僕は驚いて飲んでいたジュースを
吐き出しそうになった
「性格的な話じゃなくて
志、というか
魂、というか
お互いを想い守ろうとする気持ちのことだ」
「それは………
喜んでもいい話では
なさそうですね………」
「そういう勘が鋭いところも似ている」
真柴先輩は
ニコッと笑った
「どんなことをしてでも
相手を守りたいという気持ちはわかる
大切な人であればあるほど
その想いも行動も
歯止めが効かなくなる
それも、理解できる」
「だか、今回………
椎名くんが恭介を守ろうとしてしたことは
両刃の剣だよ」
「両刃の………剣」
「恭介を守ろうとして
君に何かあれば
一番傷つくのは、恭介だ」
「…………………」
僕はまた
首もとを手でそっと触った
「同じことを
恭介にも、言ってやりたいがな」
真柴先輩の言う通りだ
もしもこれが逆だったら……
恭先輩が僕を守ろうとして
傷ついてしまったら………
きっと僕も
精神崩壊してる………
自分を守ることは
相手を守ることに繋がるんだ………
「………僕は、
どうしたらいいんでしょうか……」
「恭介のそばにいてやればいい」
「でも………」
「会えない、か?」
「……………………」
「会いたいと言えばいい」
「そんな!仕事なのに………
我が儘なんて言えません」
「そういう素直じゃないところも
そっくりだな」
そう言って
真柴先輩は
誰かに電話をかけた
「あ、俺です
仕事中なのに、すみません………
今日会いたいのですが……
…はい………はい…………」
…………え?これって……
まさか、
誰かにデートの申し込み!?
「今日は………無理……なんですか…」
真柴先輩は
聞いたこともないような
落ち込んだ声で言った
「一目でもいいから……
あなたに会いたかったんですが……
仕方ありませんね……諦めます」
真柴先輩は
さらにしょんぼりとした声で言った
「…………え?会っていただけるんですか!?
はい………はい
大丈夫です
わかりました、待ってます」
真柴先輩は満面の笑みで電話を切ると
僕に言った
「こうやってやるんだ」
「………………………」
…………あれ?
さっきまでスゴくいい話じゃなかった?
「いいか?
会いたいと、ただ言ってはダメだ
どれくらい会いたいのか
相手にわからせる必要がある」
「…………………………」
―――――真柴先輩からの
恋のレッスンは
それから一時間くらい続いた
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