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『俺』が消える【side/周防 恭介】
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――――本当に何なんだよ……こいつ……
俺が……何を
わかってないって言うんだよ
俺を一人にするのが
怖いって………
そんなこと言われたって……
言わ、れ……たって…………
―――ダメだ………
考えがまとまらねぇ………
俺は一旦
自分をリセットするために
この場から離れようと
フラフラと立ち上がり
湯船から出た
けれど、
後ろから椎名に腕を掴まれて
背中を水面に打ち付けながら
湯船に戻る
「…………ぶはぁっ!」
湯から顔を出すと
椎名が
俺の前に佇んでいた
「………………………」
「………何………だ…よ……」
「一人に慣れすぎてるから………
僕の存在が怖かったんですね」
「はぁ?………何だよ、それ」
「技術室で、思ったんですよ
『この人は、僕が怖いんだな』って
今、ようやく
その理由がわかりました」
技術室………
いったい、
なんの話をしてるんだ……?
椎名は茫然としている俺の上に股がり
顔を掴んで
飲み込むようにキスをした
「…………っ、………んっ!」
椎名の唇から流れた血が
進入してきた舌を伝って口のなかに入り
鉄の味が広がる
「しい、な………待て、……話……が」
完全に無防備だった俺は
突然与えられた悦楽に耐えられず
押し退けることさえできない
頭がグラグラと揺れて
湯船の中に体が沈みそうになり
思わず
椎名の肩を掴んだ
「…………っ、んっ、んっ………」
その間にも
椎名は俺の舌を舐めとり
内膜を抉るようにして
ヂュル…と卑猥な音をたてながら
俺を犯し続ける
「………っ!…………んっ、……はぁ、」
さっきまでの
悲鳴のような
椎名の言葉の嵐は消え
怒りで震わせていた体と連動するように
波打っていた水面は平らになり
露天風呂は
俺の甘い吐息で
満たされた
抗い固まっていた俺の体も
次第に弛緩し
気づけば、
椎名の動きに応えるように
舌に自分の舌を絡め
舐め回す
心は木っ端微塵にされ
体は快楽を与えられ
俺は
『俺』じゃ
なくなっていった…………
椎名は透明な糸を引きながら
俺の唇から離れると
俺の目を見つめ
唇を見つめ
また深く唇を重ねる
まるで、『自分を感じろ』と
言われているみたいな
椎名からの無言の愛撫に
俺の首筋に一気に快美感が集まった
キスの合間に
「はぁ、………あぁ……んっ………」
自分でもゾクゾクしてしまうような
艶やかな吐息が洩れて
堪らず俺の全身の力が抜ける
『バシャァ……っ……』
たちまち俺の体は椎名ごと湯の中へ沈み
視界は歪んで
ゴボゴボと
液体を擦る音に包まれた
それでも俺たちは
唇を重ねたまま
離れないように
互いを強く抱きしめ
息の続く限り
湯の中を漂い
角度を変えながら
繰り返しキスをした
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