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ドキドキなんかしてねぇよ
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艶やかな唇から放たれた言葉は
とても静かで眈々としていたけれど
一つ一つの単語に
燃えるような力強い意思を感じた。
そう、これは
絶対的な拒絶。
椎名は音を立てることなく
坂崎を背にして出口へ向かった。
…………………………
…………………………ドクン
……ドク、……ドク、……ドク…
……あれ。
なんか、動悸が……
いや、ドキドキしたとか
そういうんじゃなくて、
想定外のお姫様の勇ましい対応っぷりに
ちょっとビックリしただけで……
………………………………
………………いやいや、
いやいやいや、
いやいやいやいや!マジで違うって!
これはソレじゃなくて…………
アレだ!
ほら、
トイレから戻って自分の席に座ろうとしたら
明らかにさっきまでなかった怪しげなものが
置いてあってさ
それがブーブークッションだとわかった上で
勢いよく座ったら
意外に音がでかくてビックリしちゃった時の
あの気持ち、あの気分だから!
だから、アレじゃない!
断じて違う!!
――――――――――――
――――違うけど、
相手に対してあんな風に
『yes』『no』はっきり言えるなんて
言葉を濁してばかりの自分には
ない部分だったから
カッコいいな、とは思ったよ。
本当に。
マジでカッコいいよ、椎名。
俺もはっきりと意思表示できたら
こんな悩むことないのに。
―――悩ますこともないのにな。
――――でも、
………いいのか?
あの坂崎相手に
そんなこと言って煽ったら……
……………あぁ~あ。
ほら見ろ、
詰めが甘いんだよ。
男なら次の行動くらい察しろっつーの、
…………バカ。
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