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彼は僕の標的
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「あの~……」
突然、空から気の抜けた声が降ってきて
坂崎先輩の体が弾かれたように離れた。
………誰?
声がする方向に目を向けたが
光の加減でシルエットしか見えない。
「お取り込み中、申し訳ないんですけど
…………降りてもいいっすかね?」
声の主はカンカンと軽快な金属音を立てて
給水塔から降りてくる。
……人がいたのか。
ってことは、全部見られて…………
……………………………………
うわあぁぁ~~~~~~~~っ!!
最悪!!!
誰?
誰に見られた!?
先生とかだったらマジ気まずい!!
つか誰だか知らないけど世が世なら
『くせ者!何奴!』とか言われて
背中をバッサリ
斬りつけられちゃってるところだよー!
助かったのか
ますます状況が悪くなっているのかわからず
軽く目眩がした。
そんな僕をよそに
坂崎先輩は影に向かって平然と話しかける。
「人の恋沙汰を言葉通り高みの見物とは……
相変わらず品がないな、周防」
スオウ………………
今、周防って言わなかったか、この人。
そんな………
うそ………だろ?
いや、あり得ない。
こんなところに彼がいるわけがない。
けれど
この学校に
『周防』の姓を持つ者は
僕の知る限り
一人しかいない。
「いやぁ、
先輩から品について警告を受けるなんて、
ありがた過ぎて涙が出ちゃいましたよ」
徐々にはっきりとするその姿は
皮肉で滲んだセリフとともに
挑発的に口角を上げ、
長い足を交互に繰り出しながら
ゆっくりと歩いてくる。
ワックスで流れるように整えられた
ダークブラウンの髪の毛は
日に照らされてキラキラと輝いていた。
獲物を狙うような鋭い眼光は
見たものを一瞬で魅了する
魔力を秘めている。
同じ高校生には感じたことのない
逸脱したオーラ。
間違いない…………彼だ。
完璧なルックスで世の中の女子を虜にし
猟奇的な笑顔で人のメンタルを崩壊させる
その人の名は
―――――周防恭介。
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