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目敏さと気変り
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暫く、その辺りを行ったり来たりを繰り返していると
「おい、そこの若いの」
「おい、白髪の」
「イダッ!イデデデデ、何すんだ、爺さん!!」
銀時は白髪混じりのお爺さんに
耳を引っ張られ、引きずられるようにして歩かされる
痛みに声を上げる
「ちょっ!銀さん!!」
「眼鏡、こいつを借りてく。こいつにようがあってな」
「え。いや、でも」
白髪の爺さんの視線を向けられてか
眼鏡くんは押し黙る
「用なら今、言えよ。知らない人にはついて行くなってお母さんに言われてるから」
「おとなしく人の話を聞くような珠でも無さそうだったんでな。それにわしは知らない人じゃない」
「じゃあ、あんた誰だよ」
「わしか、ただの医者だ」
答えになってないと銀時は
内心思いながらも
爺さんに耳を引っ張られながらも
連れてこられたのは、
小さい病院の様な建物
そこの鍵をあけ、建物に入るように促される
「あんた、生傷が堪えんな
前よりは酷くないようだが」
痛むだろと言いつつ、銀時の肋骨辺りを叩く
「イッ!…なにしやがんだ」
「いや、つい癖でな、職業病じゃよ
それに、お前さん来るときずっと肋を抑えてたんで、ちょいとな」
「こんな医者聞いたことねぇ」
木の板が軋む廊下を歩くと
ボワァッと白い光に照らされる様な診療室に連れてこられ
爺さんの真ん前に向き合うようにして座る
「んで?話ってのは」
「お前さんの懐に紙切れはいってるじゃろ?」
「紙切れ?そんなの、入って…」
懐をまさぐると
紙切れらしきものがあり
四つ折りになっているそれを開くと
ゼロと振込先が書かれている
所謂、請求書の様なもので
「案の定、初めて見た様な顔しとるな」
記憶を辿ってみると、あの婆さんから受け取った紙切れだと思い出す
確かさっき、眼鏡くんが言っていた様な
「あの婆さんが連れてきた、医者か?」
「あぁ、幾ら待っても、金が振り込まれてなかったんでなぁ」
「いや、それにしても13万はぼったくりすぎじゃね?」
「良心的な値段だと、思うがなぁ
つか、これ以上長引かせたら利子つけるぞぃ」
「マジかよ」
「マジだ」
深いため息をつき、
立ち上がるとファイルや何やらが積まれている机に脇腹がぶつかり
その衝撃で鈍痛が走る
目を瞑り、その痛みに耐えなかまらも
目の端に捉えたのが
明らかに寄っている医者の眉
面倒になる前にさっさと帰ろうと
診療室のドアノブに手をかける
「じゃあな、再来月には払うから」
「おい、若いの待て。来月にきまってんじゃろ
それに、………また、増えてるな」
「はぁ?何のことだよ?」
「この道、35年じゃ」
※
「分かったのか?」
「何だ、お前いたのか」
「俺が質問してるんだが、アイツの様態はどうなんだ?」
「生憎、鷲は守秘義務は、守る方でな。で、指名手配犯がなんのようだ」
突然降ってきた何者かに顔を上げるが
特定出来たのか、顔をあげもせず
診療室を引き揚げる準備に取りかかる
「昔の馴染みでな」
「攘夷浪士のあんたがか?あんな男になんのようだ。仲間のようには見えんが?
それに、あの男は真選組じゃぞ。
仇のあんたが知るようなことはない、
冗談も大概にして、何を知りたいのか知らんが、さっさと帰りな。今日はもう終わりだ」
「冗談は、あんたのほうさ。あんなこと言って、本当はあのスナックのお登勢とかいう婆さんへの牽制をしようとしてたんじゃないのか」
その桂の台詞を聞くと
ぽつりぽつりと何かを話はじめた
「盗み聞きとはたちが悪いぞ。それに何処から、そんな事を聞いてきたんだ?
まぁいい、そうじゃ。鷲はお前さんの言う通り、奴を婆さんに近づかないように言うつもりじゃった。だが、気が変わった」
「これと決めたら曲げないと名高いと噂の爺さんからそんな言葉が出てくるとは思はなかったな」
「もう、治療はせんぞ」
「俺はこれで、おいとましよう」
桂は医者の言葉に被せるようにして
矢継ぎ早に喋ると、颯爽と消えた
「あんなの見せられりゃ、気も変わるさ。傷までおって、アイツは馬鹿なのか」
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