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裏切り者と腹の底
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もう使われなくなった武士の屋敷の
そこでは、度々薬の売人たちが集まっていると噂がある
「末恐ろしいな、オィ」
一人の男がある若い男の後ろ姿を視界にいれ目を細めるとそんな言葉を呟く
「アイツは誰なんだ?」
「あぁ、お前は知らねぇんだっけか、間者だ」
「間者って何処の?」
「さぁな。俺たちしたっぱにゃあわかんねぇよ
ただ、噂があってな。幕府直属の機関ってことだけは確からしい」
「幕府の直属の機関?それで何処の機関なんだ?」
「さぁな。まぁ一つだけ確かなのは
あの若さでここに協力してるってことは
とてもじゃないが人様に言えるようなことじゃあねぇってこった。でも、その組織か幕府に恨みをもってるのは確かだろうがな。」
「違いねぇな。」
「それであの若い奴はここで何してンだ?」
「あいつは、妖狂の服用者だ」
「妖狂のっ!?妖狂っていやあ、あの」
「あぁ、例の薬だ。別名‘妖凶’。桃源郷と対を成すと言われているあの薬。人間ならざるものになってしまうというあの薬さ。その、狂気じみた行動から災いをもたらすと言われ、ついた名だ」
そんな話を小声で話し、例の若い男に視線を注ぐ
上との話が終わったのか男が外に出ようとくるりと踵を返す
男は、黒いレインコートのようなものを身につけており
顔は見えない
暗闇の中だ何もそれも小さな物など見つかるわけもない
だが、ひらりと何かが男たちの間に舞い落ちる
その若い男が去っていくのを見送ると
男たちはその暗闇の中落ちたものを凝視する
「何だ、これ?」
「髪じゃねえか?」
「白、いや、、、銀か」
一枚の畳の上に月明かりがぼうっと差し込み
その髪が反射して暗闇の中でにわかに輝く
※
「い゛っッ、もうちっと丁寧にやれよ」
「男がんなこというんじゃねぇ、大体、確かに3日後に来いとは言ったが、約束の時間より一時間も遅れてるぞ」
「ん?あぁ、ちょつとな。野暮用があってよ。まぁ、でもこれからはあんたが診てくれるんだからいいだろ?」
「人の言葉を逆手にとりやがって、糞餓鬼が。誰が、そんなこと言ったんじゃ?」
銀時は大江戸病院にも何処にもいかずに
この歌舞伎町の町医者の所に来ていた
―数日前
『わしを誰だとおもっとんじゃ、この道何年だと思ってる?3日後、午後11時にここにこい
お前さんに何があるのかは知らんが、その怪我治るまで診てやるよ』
『はっ?なにを……』
『年寄りのゆうことは聞くもんだ』
「それにしても、3日前より。怪我が増えてるな
それも、故意的に。顔の傷が無いところから見ても、見つからないようにか」
医者が意味ありげな視線を銀時にやるが
素知らぬふりで視線を剃らす
「隠すのは、別に構わんが。いずれ、壊れる
それが、一ヶ月後か一年後か、はたまた明日かは
わからんがな。真選組の副長さんが弱っちい
何て事はないだろ?何で、抵抗しない。
腕を縛られたような跡があったが、抵抗したなら少しでもそれらしい跡がつくはず。それが、全くないときた。何でだ?」
その言葉に銀時は
何処を見ていたのか図りかねる
視線を医者の顔に向けると
唇が小さく動き
‘なんで’と声にならない声が漏れる
「こんな所にいる医者だ、厭でもそんな情報はたんまりと入ってくる、真選組の副長」
少しの間があき
シーンと静まり返る
聞こえるのは外を走る、車の音や
小走りに走る誰かの足音
「何でか、か……馬鹿だからだよ。
そんで超のつくお人好しなんだよな」
「お前がか」
「俺がお人好しに見えんのかよ?爺さん
でもまぁ俺も、馬鹿なんだろうな」
「どうゆう意味だ?」
「仲間を信じて疑わない奴なんだよ
アイツは。だから、それを俺が壊すわけにはいかねぇんだよ。」
銀時の脳裏に浮かぶのは
たった一人。
お人好しと言っても言い足りなさすぎる男の姿だった。
納得のいかない顔をしている
医者は、虚ろな瞳をしながら発した
銀時のその台詞を聞いて更に
意味が分からないという顔をした
「爺さん、一つだけ忠告しとくぞ。
人を信じすぎると
後で、後悔することになる」
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