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真夜中と紛擾
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食糧を調達してきた
真夜中に騒がしい足音が屯所内に響いていた。
「怪我人を早くいれろ」
「医者はまだか?」
「怪我人は?」
真夜中の忙しない足音と物騒な台詞に
寝ていられる筈も無く
屯所内を歩いていると、
暗い中に灯る部屋を見つけ
そこを覗いてみると
負傷を負ったらしい隊士が数名横たわり
その対処に追われる隊士がいたが
応急処置にしては手際の悪さを感じた
その襖を開けて中に入って見ていると
下手としか言いようがなくて
一人の怪我人に2、3人ついているため
効率が悪い
「貸して」
「あっ。すいません。お願いしまっ」
隊士の言葉は
途中で切られた。
俺がいることを予想もしてなかったみたいな顔だ。
まぁ、当たり前か。
傷を見ると、どうにも素人くさかった。
なのに、戦いに出ている筈の隊士が軽傷にしろ重傷にしろ揃いも揃って怪我を負うのは
そこらへんにいるような男じゃなくて
普段から鍛錬を怠らない屈強な男がこんな怪我を負うのは何処かひっかかった
目の前のハゲている男の腕の包帯を巻きながら聞く。
「なぁ」
「何ですか」
「お前、どうしてこんな怪我負ったんだ?」
「どうして、んなこと聞くんですか」
「見るからに他人を殺すための傷じゃねぇし、それに、お前強いだろ?」
視線を何気なく上げて言うと
ハゲはポカーンとしたような表情で
俺を見ていた
「何?」
「え、あ、いや、あんたがんなこと言うなんて思わなくて」
「そうか?まぁいいや、とりあえずこれで止血は出来てるはずだ」
包帯を巻き終えて
ポンッと腕を叩くと
ハゲは少し顔を歪めた
「イッてぇすよ。つうか、あんた包帯巻くの上手いんだな」
「男がちっちゃいこと気にすんなよ。俺は、こういうのは、慣れっこだからな。そんで、何でこんな怪我負ったわけ?」
「あぁ、これはですね」
ハゲが口を開こうとしたとき
後ろから申し訳なさそうな感じで
すいませんと聞こえてきた
振り返ってみると包帯を抱えて
こちらを見てる数名の隊士がいた
「坂田さん。お願いしてもいいですか?」
「マジで?」
「お願いします」
「ハゲ。手伝え」
「え?俺っすか?つうか、俺にはちゃんと原田右之助って名前が」
「男がちっちゃいこと気にすんなよ」
「……何すればいいんですか?」
※
「ほい。これで終わり」
一応の怪我人の手当を終え
分担した分の手当をしているハゲの姿を
探していると、今しがた手当を終えた隊士がこちらをじっと見ていることに気づいた
目が合うと決心したかのようにその隊士は口を開いた
「俺は十番隊隊員の相沢です。
坂田さん、屯所内で起こった一年前の事件をご存知ですか?」
「一年前?」
「はい。局長の暗殺を図った隊士の事件です。」
「……暗殺」
「相沢、そのへんにしとけ」
「……原田隊長。」
「その件を蒸し返すな」
「隊長、でも。」
「でもも何もねぇ。今日は、もう夜も遅いさっさと寝ろ。」
ハゲにそう言われて
立ち上がった相沢と言う隊士は
何か言いたそうな顔をしていたが
部屋をあとにし、他の隊士たちも何か剣呑な雰囲気を感じ取ってか
そそくさと部屋を出ていった。
ハゲと目が合うと
頭をかきながら気まずそうに視線を外された。
「隊士の半数以上が、アンタを歓迎はしてない。それはアンタが怪しい以上に一年前に起こった事件が原因なんすよ。局長の暗殺を図った事件が。だから、アンタをやすやすと受け入れられない。」
それを聞いて笑い転げると
ハゲの表情が曇っていき
怒りに似たようなものを
感じ取って、手を前に突き出して
待て待てと言うとハゲは仕方なしと
言うように口を真一文字に引き結ぶ。
「バカにしてるわけじゃねえよ?
ただ、お前らの大将は、お人好しの人たらしだと思ってね。どうりで俺、みたいなのも拾っちまうようなわけだ。
お前もアイツに拾われた口か」
「いや、俺は武州から一緒に出てきたんだ。」
「昔からあぁなわけ?あの人」
「まぁ、局長は昔から変わらねぇッスよ」
「そっか。変わらねぇのか」
「てゆうか、何か別のことを話す事になってたような。何でしたっけって寝てるし!!」
原田が一瞬、考えを巡らせた瞬間に
銀時は座ったままの状態で眠りにはいっていた。
「何なんだ、この人は」
原田は、子供らしいのか大人らしいのか
良くわからない銀時に視線をやりながら
これからこの寝てしまったこの人をどうしようかと思い巡らせていた。
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