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陽だまりと影
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町に出てきたのはいいものも俺は、町案内って何をすればいいのか考えていた
坂田副長は、町中を物珍しそうにきょろきょろと見回していた
「あの、坂田副長どこか行きたい場所とかあります?」
「甘いもの食べれるところ」
坂田副長の返してきた予想外の言葉に目をパチパチと瞬きさせる
「甘いもの好きなんですか?」
「・・・まぁ、好きだ」
少し恥ずかしいのか頬を掻きながら、違う方向を見て誤魔化しているようだった
意外に表情に感情が出る坂田副長に少し笑みを溢す
団子屋に一緒に行き長いすの横に座っていると、坂田副長の食べる団子の量に驚かされた
1本、1本ゆっくりと平らげるのだが次々に団子を食べていき、
皿がどんどん上に積み重なっていく
財布、足りるかな・・・幸せそうに食べる坂田副長をよそに俺はお金の心配をしていた
「ジミー君、それ食べないの?」
坂田副長が団子を片手に持ちながら、俺の横においてある団子の皿を指差す
目が欲しいと訴えていた
「坂田副長、たべます?」
皿を坂田副長の前に団子を出すと、嬉しそうに団子を口に運んで頬張る
「寒いな」
横に座っている坂田副長から独り言のような言葉が呟かれた
チラッと横を見やると腕を擦っている
そういえば、外に連れ出すことに必死でそんな所まで配慮ができていなかった。
坂田副長が着ているのは、着流し1枚で四月といえどまだ、少し肌寒い季節でその1枚だけだと
見てる方が寒く感じる
「坂田副長、行きますよ」
これ以上、注文されたら俺の財布が空になると言うのもあるが
呉服屋で1枚羽織を買おうと団子がまだ食べたりないといった様子の坂田副長を無理やり連れ出した
「ジミー君、どこいくの?」
「・・・呉服屋ですよ」
「・・・ジミー君、服でも買うのか?」
「・・・坂田副長そのさっきから気になっていたんですけど
ジミー君ってなんですか?」
「地味だからそのまま言葉から取って
“ジミー”」
「酷いですよ!!坂田副長、俺はちゃんと山崎退って名前があるってさっき自己紹介したばっかじゃないですか
!!!」
「覚えられない」
いたずらっ子のような表情で俺を一瞬見た後、
そう、ばっさり切り捨てられ俺は暫く呉服屋への道でぶつぶつ文句を言ったけど
坂田副長は全く聞いていなくて俺も目的地に到着する頃にはあきらめていた
呉服屋の中に入ると、赤、青、黄、白、緑等のさまざまな色をした着物が並んでいる
その状況に坂田副長は驚いているようで、少し目を見開いていた
平日の昼間だからか、運よく客は誰もいなかった
「さてと、坂田副長選んでください」
「・・・俺が何で選ぶんだ?ジミー君の着るものだろ?」
「今日は、坂田副長のために町案内しているんですよ、俺のもの買うために来るわけ無いじゃありませんか
それに・・・その格好寒くないんですか?」
「いいよ、・・・もうどうせ帰るだろ」
「まだ沢山行くところありますよ、たぶん夕方ごろに帰る事になります」
坂田副長がいらないと言わない内にこの店の店員を呼び、
この着物にあった羽織を選んでくださいと頼むと坂田副長を羽織のコーナーに強引に連れて行った
俺もその後ろを後からついていく
__プルルル
携帯の着信音が店内に響く
誰からだろ?と携帯の画面に目を向けるとそこには、『マヨネーズ上司』と書かれていて
要するに副長からの着信が来ている
店員さんと坂田副長に断りを入れた後に店の外に出て、電話に出たその瞬間に
耳鳴りがするような馬鹿でかい怒鳴り声が携帯越しに響いてくる
『てめぇ、山崎!!・・・てめぇ今、どこにいる!!!』
『・・・外です』
『そとだぁ?・・ってめぇ、仕事はどうした!!』
『局長に頼まれごとをしまして・・・あははは』
適当に笑って済まそうとした
この人に、そんな事通じるとは思えないけど
きっと、大丈夫!!、大丈、・・・・
ダイジョウブ?
俺が、頭の中で混乱していると、ふと、携帯から副長の声が聞こえていないことにきずく
切れたかなと思って、画面を確認するがちゃんとあの名前が書かれている
『山崎っ!!・・・聞いてるのか!!』
『はっ・・・はい、何でしょうか?』
『近藤さんに頼まれた、用ってのは何だ?』
『えっと、・・・それはですね』
どうしよう、・・・何ていえばいいんだ。
素直に言う?・・・・・・あ~すいません副長、坂田副長の町案内を頼まれまして~、何て言えるわけが無い
ていうか、言った瞬間、抹殺されそう
俺が何って言ったらいいか考えあぐねてると後ろから、ジミー君と叫びながら走ってくる坂田副長がいた
えっ?何、これは、考えてるうちに坂田副長に腕を掴まれて俺も走っていた
副長は?・・・と携帯をチラッと見てみると、いつの間にか切ってしまったようだ
もういいやと携帯の電源を切って俺もしっかりと前に向き直り走り出す
「なっ・・・何で走ってるんですか!!・・・それにお金は!?」
「・・・言いたくないし、金は真選組にでも要求して来るだろ」
「ちょっ・・・まじですか!!」
こんな焦った坂田副長は始めてみる、この人偶に、人格が違うような
まぁ、余裕が無いときは皆こんな感じだよな
「ところで、坂田・・・副っちょっう、何処まで走るんですか!?俺、・・・ちょっと息切れが」
「・・・ジミー君、もっと体力作りなよ」
その言葉と同時にして俺達は、立ち止まった
はぁはぁ、と肩で息をしていたが
隣の坂田副長を見やると、息一つ乱さずに立っていた
「ジミー君、ここどこ?・・・それにもう、夕方だ」
そう問う坂田副長に返答しようと、大きく深呼吸して空気を吸い込む
見渡すと、長屋、長屋、長屋でそこは、一見、市民が仲むつまじく暮らしてるような場所だが
そこは、攘夷浪士のたまり場とされていて、目撃情報もあり、現れるのだ・・・この時間帯によく
真選組での巡回区域内だが、辺りも暗くなってくる夕方、しかも今の時間帯は
夜勤の連中と交代の時刻
もうこの辺には真選組の隊士達はいないだろ
坂田副長は、私服で狙われる心配は無いけど、隊服を着用している俺といれば、
真選組のものと思われるだろう
「坂田副長・・・帰りましょう」
そう、緊張身帯びた声色で坂田副長に話しかけると
何か感じ取ったのか、素直に聞いてくれて俺達は屯所へ足を動かしていた
そのとき、案のじょう攘夷浪士たちが7,8人俺達の目の前に現れた
汚らしく、笑いながら
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