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白と黒の副長
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坂田銀時が見回りを行うこととなった
今日、初日
紫煙を撒き散らかしている副長と先日副長に就任したばかりのもう一人の副長が見回りを行っていた
この二人、一応、体制の為、近距離で
はあるが
一メートル程の距離が開いており
鬼の副長こと、土方十四郎は不機嫌さを隠すことも無く
もう一人の方は、それを気にしているのかいないのか欠伸をしながらつまらなさそうに歩いていた
「副長さん、町案内しねぇの?」
「あぁ?・・・チッ、何で俺が」
「特に無ぇなら別に良いけどよ~」
今日は、監察の山崎が一緒にこの副長と見回る事になっていたが、彼の姿は見る影も無い
何故こんな事になったかというと、時を遡れば1時間前
何やら、攘夷浪士と繋がりがあるとされる武器の売買を行う売人に
怪しい動きがあり、
山崎は急きょ潜入する事となった
代わりにもう一人のほうの副長が立てられた訳である
他にも一番隊隊長沖田総悟等の名前も挙がったが、沖田は面倒なことを避ける能力でもあるのか何処かに雲隠れしたようで、他の空いている隊長各は事情が込み合っており都合が悪かった
当初、土方も面どくせぇと拒否しようとしていたが、局長近藤勲に頼まれてしまえば何も言えず
今に至るわけである
「おいっ・・・お前、何で木刀ぶら下げてやがる」
「んあっ?別に刀にはかわらねぇんだから良いだろ」
「言い訳がねぇだろ、この仕事嘗めてんのか?」
ヴぅっと狗のように唸り威嚇する土方へ一瞬、視線を寄越したが
直ぐに視線を前に戻しさぁと独り言のように呟いた
土方が何か言い返そうとした時だった土方の携帯の着信音が鳴る
チッと舌打ちを打つと携帯を取り出し応答する
「何だ?・・・あぁ、近藤さんが居なくなっただぁ!?又、あの女の所じゃあねぇだろうな
総悟はいねぇのか?・・あいつもいねぇのかよ、あぁ、分かった、俺が連れ戻しとくから、お前らは通常勤務に戻れ」
はぁと深いため息をつき後ろに居る奴の方に向き直ると
副長さん、野暮用思い出しわとそいつが言い出し
はぁ!?と反応した時にはもう奴は
走りだし、直ぐに視界から消えた
「何だってんだ」
とりあえず、近藤さん連れ戻しに行くかと例のスナックに俺は足を運んだ
スナックに着くと、店長らしき長髪、グラサンの男が土方さんどうぞと顔がぼこぼこに殴られて抉れて
意識が無い
局長こと、近藤勲を引き渡された
店長の隣にいる女は、にっこりと微笑みながら
“今度来るときは、月末にいらっしゃって下さい”と給料日までもう来るんじゃあねぇぞと言う意味の言葉をかけられ
そそくさと追い出された
隊士にスナック、スマイルの前で停めておけと連絡を入れておいた為、パトカーが一台停まっている
そこに近藤さんと一緒に乗り込むと近藤さんは意識を取り戻した
近藤さんがはっきり意識を取り戻さないうちに、パトカーを出させた
「あれ?俺は、お妙さんに酌して頂いていたはずじゃあ?」
「残念だったなグラスじゃなくて顔面にはグーパンを貰ったみたいだったがな、近藤さんもうこれっきりにしてくれよ」
「お妙さんは、きっと、照れているに違いない。これが所謂、ツンデレってやつか!!」
「ツンデレの割には、ツンの割合が高すぎるだろ、ていうかデレなんて見たことねぇよ
近藤さん、人の話聞いてんのか?」
「勿論だ、お妙さんがどれほど美しいかって事だろ?あれ、そういえば銀はどうした?
みあたらねぇようだが」
「・・・・あいつならどっかいったよ
見回りの途中にな」
はぁっと溜め息をつく
「そうか、そうか。きっと、見慣れない町だしな探検でもしてるんだろ」
「探検って・・・あいつは小学生かっ!!」
ガハハハと大笑いして、全く聞く耳を持たない近藤さんにため息しか漏れなかった
「副長、沖田さんはどうしましょう?」
「あぁ?総語はほっときゃ戻って来んだろ」
「では、屯所でいいんで?」
「あぁ」
それから、暫くの間、窓の外を眺めていると
ファミレスで銀髪の男ががつがつと食べ物を貪っていた
銀髪、思い浮かべるのは唯、一人のみ
あの、目立つなりは、この江戸でも一人しかいないだろ
野暮用とか抜かしていたが、サボってんじゃあねぇか
問題を起こさなければどうでもいいかとあいつにもう一度視線をやると
どうやら、チョコレートパフェやケーキ、シュークリーム等を食べていたらしい奴の
口周りにはクリームやらチョコやらがついていて顔を歪めるようなものだった
「トシ?どうかしたか?」
「・・・何でもねぇ」
※
夜も深まり、皆が寝静まった頃山崎が屯所に戻り、現状報告をする
売人に不穏な動きは一切無いようだが
だが、そろそろ大きな動きがあってもおかしくはない時期ではある
報告を一段楽させた山崎が切羽詰ったような表情で、話を切り出してきた
最近の屯所中の噂の的の坂田の事だった
「副長、流石にこの現状は不味いのでは?隊の士気にも関わりますし」
「確かにな……だが、んなの、知ったこっちゃねぇよ。アイツが招いた種だ、テメェで落としまえつけんだろ」
山崎が驚いた顔で俺を見つめる
俺の真意でも探るように
「そのままの意味だ、他意はねぇよ
他に用がねぇんならさっさと、仕事場に戻れ」
煙草とジッポをジャケットから取り出し、火をつける
ぽうっと紫煙が宙を漂い続ける
「ですがっ!!」
「何、騒いでんの?」
現れたのは話の中心の人、坂田銀時が月をバックにして白い着流しに赤黒い羽織を羽織って現れた
「うるさくて眠れやしねぇ、・・・んっ?何、ジミー君帰ってたの?朝帰りかなんか?元気だねぇ」
「ちっ、、違いますよ。何勘違いしてるんですか!?」
「ありっ?違うの。ていうか、こんなとこで何やってんの?」
山崎が口ごもっていると、土方が、これで報告はおわりだろさっさと寝ろと
山崎を足蹴にして強引に追い出した
追い出された部屋の前
しんと静まり返る深夜、二人の間に微妙な空気を感じているのは俺だけだろうか
「坂田副長」
「ジミーくん、今夜は綺麗な月だな」
俺が言葉に被せるように発せられた言葉
副長との会話をこの人は聞いていたのだろうか、表情から探そうとするが隠すことに長けているこの人から読み取れるはずもなく
「綺麗ですね」
そう、返すことしか出来なかった
「んで?朝帰りって、ジミーくん何してたの?」
「坂田副長!!含みのある言い方は止めてくださいよっ!!」
「別に俺はそんなつもりはねぇけどなぁ」
口角をゆるりとあげて、
目を細めながら楽しそうに俺をみやる
「だから、違いますってば!?」
案外大きな声が出てしまい
副長に怒鳴られた
そういえば、ここが副長の部屋の前だったことを思い出す
「山崎っ!!うるせぇっ!!!」
す、すいませんと謝り、坂田副長にもそれではと一礼してさっさと副長の部屋の前から立ち去った
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