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強さと弱さ
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俺は引きづられるまま引きづられ、
何やらこのゴリラの家の道場まで
連れてこられたようで
そこで、俺は正座をしていた
「最近の世の中の不景気、それにこの時代よ道場が流行らないのも侍の剣が
廃れていっているのも大人の貴方ならわかるわよね?」
「は、はいっ」
「どうしてくれるのかしら?愚弟のちんかすみてーなアルバイト代でも家には必要なお金なのよ、この道場も兄弟二人でアルバイトして何とか取り繕っている状態、どう、落とし前つけてくれんだオラッ」
「いや、人助けしたしいいかな~と思いましてそれに、甘いものも食べたかったんで」
――ドンッ
女が俺の話を遮るように
薙刀が軽く床につく
「あの~っ、その薙刀一旦、しまって
冷静にっ……ヒィィッ」
瞬間、俺の目の前に切っ先が向けられ
嫌な汗が滴り落ちる
女の表情をみる限り、殺されるのは
まちがいなさそうだ
「これが冷静でいられると思って?
貴方、真選組よね、公務員だし
保険金はおりるわよね?」
「あっ姉上!!駄目ですよ
流石にそれは、人殺しになっちゃいますよっ!!!」
「そ、そうですよ。一旦、それは
床においてください、お姉さん」
「そんなこと言っていられる余裕はないわ、道場の維持費も今月の食費もままならないし全部ぱぁよ
侍なら侍らしく腹を決めなさい
死ねやぁぁああっ」
俺に襲いかかってくるそのゴリラ女を止めようとひよわそうな眼鏡君が
背後から女の両脇に自らの腕を通し
動きを何とか止めている
「まてまてっ、バイトクビになった訳じゃあねぇだろっ?」
「さっき、店長から連絡があって
僕に絡んでいた男たち
相当な富豪らしくしかも、お得意様の
ようで即、クビです」
「いや、それ俺のせいじゃなくね?」
「そんなことどうでもいいわ、
覚悟しろやぁぁああ」
眼鏡君が何とか抑えていたが、
ゴリラ女はそれを振り払うと
俺に向かって薙刀をふりおろしてきた
もう駄目だと思い覚悟して、目を瞑ったが一行に何の動きも無いので
目を開けると、女と眼鏡君が道場の出入り口に視線を向けており俺もそちらに視線を動かす
「何やねん、騒がしいなぁ」
明らかに訛りの入った口調
変な髪型、緑色の肌、似合ってない眼鏡
をした天人が後ろに部下らしき物騒な男を二人ほど引き連れて道場につかつかと土足で踏みいってきた
兄弟の顔が少し強張る
「あんさんら、金は用意できたんか?」
「……いえっ、まだ」
「まだぁ!?一体、何年待たせたら気がすむねん、こちとら全部一気に払ってくれ言うてる訳やないのにのぉ」
「もう少し、もう少しだけ待って下さい」
「もう、その台詞は何百回も聞いたわ
わしもそろそろまてへんで
いい加減、こんな道場売り渡したらどうや?」
天人が唾をゆかに吐きかける
それに反応した
女が天人の頬を勢いよく打ち、乾いた音が道場に響く
「何してくれとんじゃあ、女だからと
なめてかかると思うなっ」
激昂した天人が拳を握り、
女に殴りかかろうと拳を振ろうとする
女は殴られるのを覚悟したのか
目をぎゅっと瞑り、それでいて微かに
震えていた
「ゴリラといえ女だぞ」
「誰や!?」
天人の拳を素早く止め、振り払おうにも
びくともしない腕をそのままに
気配もなく現れた銀髪の男に驚きの声をあげる
その会話を聞いていた女は、
恐る恐る目を開く
「あぁ?俺、坂田銀時
一応、警察だから、な?」
そういうと天人は罰の悪そうな顔をし、拳を素早く降ろすと
一週間後にまた来ると吐き捨てると
足早に去っていった
その背中を見送り、
このゴリラ女達に先程の続きを
言わせる間もなく
「そんじゃ、さよならっ!!」
そう言うや否や道場から素早く
逃げ出して屯所への帰路に着いた
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