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地味と地味
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「この、唐揚げっ、外はかりっと中はジュワッとしてて美味しいですね、
坂田副長」
「……」
俺が箸も動かさずに黙って
じーっと見つめている事を不思議に思っ
たのだろう
「どうかしましたか?坂田副長
早く食べないと、折角の料理が冷めちゃいますよ」
あぁと溢し、そう目の前の地味な男に
促されるまま箸を動かす
食べ物を咀嚼するたび、ズキッと痛む
先日あの女から受けた痛みは
まだ直らないが2、3日たったからか
幾分かはましになったように思う
それについては、ゴリラは必要以上に心配するし、ジミー君はつい先程
大丈夫ですか?を
連呼するし、うざったかった
だが、
何故この男がこんなところに居るのだろうか?と疑問に思う
少しの間、こっちに戻るのは入り用のものも要るだろうし納得がいくが
しかも、真っ昼間に昼飯の話をしている場合ではないだろうに
確か潜入?していたはずだとの疑問が
浮かび上がり動かしたばかりの箸が止まる
「何でここにいんの?」
その言葉にジミー君の達者に動いていた口、次にどれを食べようか選んでいた手が止まったと思ったが数秒後には
何時もの調子に戻る
「ひ、酷いですよ、坂田副長
坂田副長と食べたいって何回も言ったじゃありませんか、ほんとに泣きますよっ!!」
「いや、そういう事じゃなくて
ジミー君、潜入してたんじゃないの?
ほら、パワハラ党だっけか」
「何ですか、パワハラ党って
どんな攘夷党ですかっ!?
業強党とかいてパワフル党ですよ
潜入というか近くのとこから動きがないか見張るようなものですよ
何も、監察は俺だけじゃないですから
それに、俺、他にもやることがあるので」
「やること?」
「はい、最近どうも天人の不法営業が
横行してまして、どうも、尻尾が掴めそうなんですよ」
ジミー君が見せてきたのは、
天人の写真のようでマッシュのだっさい
髪型に緑色の肌のブッサイクだった
何処かで見たことがあるような気がして
頭を捻るが一行に出てきそうもないので
諦めて、箸を進める
その後からは、ジミー君が一人で世間話やら愚痴やらを喋り倒した
「坂田副長、また、二人で食べましょうね」
何を言い出すかと思えば、
ジミー君はよくわからないことを言う
今は、昼時と言うわけではないから
少ないが、隊士達の視線が刺さるように飛んでくることに気づかないのだろうか
俺が言葉を繋げる前にじゃあ、俺、仕事なのでとさっさと出ていってしまった
「何なんだ、一体」
そして、今日ももう一人の副長と
見回りを済ませ一日の仕事を終えると、銭湯に向かう
真選組にもでかい風呂はあるのだが
何だか温泉に入りたい気分だった
「ふぅ~っ」
身体を洗い、湯船に浸かると
今日の疲れが一気に取れるように
感じる
珍しく人の出入りが少なく
今は、ほぼ貸しきり状態だった
「隣いいですか?」
「あぁ、いいけど」
声が発せられた方向を見ると
嫌に地味な童顔の少年が腰にタオルを巻
いてお湯に浸かっている
「銀さん」
「何で俺の名前しってんの!?」
「あんた言ってたじゃあないですか
アイツにだけど」
「アイツ?」
「借金取りの」
借金取り?
そういえばそんなんが居たような
でも、あれってあのゴリラ女のとこの
だったような?
「あ~っ、あ、あ~~っ?」
「あんた、覚えてないんすか?」
「いや、覚えてるよ、フワッとだけど
てか、あんた誰?お前もしかしてあの眼鏡君?」
「もしかしなくても、志村新八ですよ
僕のこと分かってなかったんですか?」
「だって、眼鏡無いし、地味だし」
「僕の存在意義は眼鏡だけかよっ!!
てかっ、地味って何だっ!!地味って!!」
「逆に何かあんのかよ」
「あれ、僕の特徴って眼鏡だけ!?」
少しの間の後、眼鏡君は
今更ながらに自分の唯一のアイデンティティに気づいたようだ
「やっと、きずいたか眼鏡君
1歩成長したなっ」
「あんた何で、未だに眼鏡君よびなんですか、さっきやっと名前出てきたじゃないですか」
「いや、もう。眼鏡君で定着しちゃったしいいかなって」
「よくねぇよっ!!」
「そういやぁ、あれから姉ちゃん
何か言ってたか?」
「何も」
「そうか」
律儀にも眼鏡君に先に上がりますと声をかけられ適当に返事を返し
暫く一人で温泉を満喫してから
脱衣場に戻り、がしがしと濡れた身体や髪を拭いとる
取り合えず白い着流しだけを着こんで
しっかりと髪をドライヤーで乾かし(乾かさないと大変になる主に天パが)、
木刀をもち脱衣場を出た
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