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成長ナッシングと情報
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「副長、山崎さんからです」
書類と向き合っていると
少し緊張した声色の隊士から声が
かかる
「入れ」
スッと軽く音を立てて入ってきた隊士に手渡された
四つ折りの紙切れを
開くと、山崎の筆跡で
『伊納旅館、花の間、9時』
――とだけ書かれていた
ここで例の業強党と売人が落ち合うというようだ
それにしても
「山崎はどうした?」
そう、何を隠そうこの隊士は
監察方の隊士ではない
先日といっても、3ヶ月前、
つまり、坂田が入る二ヶ月前の増員の際に、武州から近藤さんが勧誘してきた新人の隊士だ
やっと、隊内も落ち着いて来た頃に
火種が投下されたというわけだ
「見回りの途中で山崎さんに会いまして、その場で走り書きしたその紙を副長に持っていけと言われまして」
新人隊士は最初こそびくついていたが、この空気に慣れたのか落ち着いた声で話す
「それで?山崎は何処いったんだ?」
「俺にも分かりません、直ぐに何処かに行っちゃったんで……あぁ!でも、ミントンのラケット持ってましたよ!!」
新人隊士は気づいていないだろうが
これは、山崎への爆弾を投下したことに間違いはない
「ほぉ?山崎とは何処で会った」
「商店街を抜けた一本道です」
商店街を抜けた一本道
確かあそこは何故か川岸に
白いラインが引かれコートのような
ものになって前に山崎を連れ戻したのを思い出す
―ボキッ
持っていたペンをへし折り
顔に筋を浮かべる
それを見た隊士は鬼でも見たかのような表情を浮かべる、隊士はきっと恐怖したことに間違いはない
「ふ、副長?」
「取り合えず、山崎、探してこい」
その表情と低い声にびびりながらも
はいっ!!という溌剌な声とともに
隊士はだだだだっと部屋から出ていく
とりあえずこの件が終わったら、
山崎しばく
それから
山崎の首根っこを捕まえてきた
隊士は、はぁはあと肩で息をし
完全に息切れしていた
「副長っ。連れてきました」
途切れ途切れにさせながらも
何とか報告をし、山崎を土方の部屋に置き去りにし逃げるように退出した
「山崎」
「は、はい!!」
山崎は、冷や汗をたらたらと垂れ流し、目を泳がせる
「死ぬ準備はできてるな」
何時になく
瞳孔をかっ開き、山崎のでこに刀の切っ先を押しあて、不気味な笑いを浮かべる
もう、それは恐怖以外の何者でもない
「い、いや、俺も暫く部屋に籠りっきりだったんで運動がしたいかなぁーって」
「運動なら、三途の川でクロールなり何なりしてこい」
「いや、それ死ぬ一歩手前!!」
※
「んで、この情報は確かだと?」
「はい、業強党の幹部が近くの飲み屋に酔っている最中に溢したようで、そこに潜入していた監察の隊士が聞いたようで
それだけでなく、最近、奴ら
港の使われていない倉庫に出入りを頻繁に行っているようなんです」
「武器の隠し場所に持ってこいって訳か」
「恐らく、物色した跡もありますし」
「わかった、山崎
一刻後会議を行う、隊内に居る隊長各に知らせろ、見回りに行っている奴らにも忘れんなよ」
召集の報せに返事を返し
立ち上がり障子を横にスライドさせ
後、部屋のそとに出ようとした瞬間
くるっと土方に振り向くと
「はいっ!……あの、副長」
「あぁ?何だ」
「マジで減俸ですか?」
「そう言ったのはお前だろうが」
「いや、あれいじょう刺さったら
俺、死んでましたからね!!
ほぼ、ほぼ無理矢理dッ」
「いいから、さっさと行けや!!」
土方は、山崎を見やり
さも、面倒そうに片足で足蹴にし
部屋から追い出す
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