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思いと葛藤
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手当たり次第思い当たる場所を探すが
坂田副長の見る影もない
昨日の夜、討ち入りが無事におわり
焦る浪士は水を失った魚に等しく無事、捕縛された
いるはずの
坂田副長が何故居ないのか
今回、討ち入りに参加しない筈の副長に聞けば声を抑えボソッと
『坂田が消えた』
―とだけ、聞かされた
俺が混乱するのを見越してか
神山が今、探してるとも伝えられた
それは、暗に騒ぎ立てるなと言うことである
坂田副長を好まない副長が
何も言わないのは、討ち入り前の
あの時に、士気を乱さないためだ
「其にしても、今日は暑いなぁ」
じりじりと照りつける太陽
つい、2、3日前までは雨が降っていた為、2割増しで暑さ倍増だ
滴る汗を拭い、ふと人だかりが目に留まる、その人垣に足を進め、
近くの男に話を聞く
「何かあったんですか?」
「ん?あぁ、倒れてる兄ちゃんがいて
意識が戻らないらしい」
「倒れてる?」
「あぁ、酷い怪我らしくてね、
白髪の兄さん何だけど大丈夫かねぃ」
「それ、本当ですか!?」
「な、何だ?あんた、知り合いか何かか?」
男の問いに返事を返さず
前に出るため人と人との間を無理矢理進みすいませんと言いながら
人を掻き分ける
「坂田副長っ!!大丈夫ですか!?」
前に出ると案の定予想通りで
声をかけるが、返事はなく
頬をぺちぺちと叩くが
目を覚ます気配はない
―ピーポーピーポー
そこに、救急車が調度到着した
誰かが連絡していたのだろう
直ぐにタンカが横におろされ
運ばれる
隊員に説明し俺も急いで乗り込む
※
「銀時っ!」
バンッと大きな音を立てて
入ってきたのは凄い形相の局長と
副長で
局長は坂田副長に駆け寄るが、
未だ意識が戻っておらず依然と目は
開かない
「…局長」
「医者はなんと?」
「肋を骨折、打撲傷、掠り傷が多数
全治、およそ1ヶ月だと―そして、どれも外部から故意に仕掛けられたものだと」
局長の息を飲む音が聞こえた
局長も気づいているのだろう
絞り出される可能性に
「…そうか」
「局長、これはもしや」
「山崎」
副長の鋭い視線が飛んでくる
これ以上は言ってはならないことだと
言いたいのだろう
悪魔でこれは憶測なのだ
確証は何らない
信じたくはないが
可能性としては浮上する
―隊士の内に坂田銀時に暴行を加えた
ものがいるかもしれないということが
「山崎、前にも言った筈だがな
こいつは真選組の副長、坂田銀時だこの意味お前なら、分かる筈だ」
俺が納得していないのを知ってか知らずか副長はそれだけ言うと
仕事に戻るとだけ残し病室から居なくなった
「局長、あんたはこれでいいと?」
「俺から言うことは何もねぇよ」
言葉を続ける局長に視線をやる
「…それに、こいつはそういうこと嫌がるたちだろ」
局長が話ながらも坂田副長に向ける、
その視線は暖かいもので
それ以上、言葉は紡げなかった
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