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虚無と空っぽ
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鼻を擽る温かい、そして食欲をそそるような匂いが立ち込める
瞼をゆっくりと持ち上げたが、
視界は真っ暗闇で何も見えない
何だ、このデジャヴゥ感
前は真っ白で今度は真っ黒かと
銀時は思いながらもこのいい匂いに吊られ暗闇のなか松葉づえを手探りで見つけだし、光がさすほうへ向かう
暗闇にいたからか、突然の光は
目に眩しく、細めるが
その柔めの電光の光になれると
棚のような所に酒が多数おいてあり
カウンターを挟み、簡単な丸イスが置いてあることから、恐らく酒をのむ場所なのは想像できた
「起きたのかい」
その声の方に振り向くと、
黒い着物に柄の入った黄色の帯の
年輩と見られる女の人がグラスを磨きながら立っていた
「立ち話もなんだ、座りな」
その年輩の女の人に促されるまま、
席に座るとカウンター席には握り飯が3つ置いてあり
「注文取り違えたみたいでね、これでよけりゃ食べな」
どうしようかと悩んでいると
腹が豪快になり、それをみた
年輩の女の人はさっさと食べなと急かす
目の前の握り飯に手をだし一つ、二つと貪り食べる
年輩の女の人はまた、グラスを磨きだした
「あんたここらじゃ見たことないが、流れ者かい」
「いや」
残り一つの握り飯をごくりと食べ、
銀時が年輩の女の人の問にそれだけ答えると
少しの間があき、そうかぃとだけ返す
「あんた名前は?」
「……坂田、銀時だ」
「婆さん、それで俺は何でここに?」
「あぁ。あんたが、そこの路地裏で
倒れてたんだよ」
「そりゃあ、すまなかった」
「あんた、歌舞伎町と知ってここにきたのかい」
その年輩の女の人の言葉に銀時は頭にはてなを浮かべる
それを見た年輩の女の人は
話し出す
「知らないで来たのかぃ、よほど運が悪いねぇ、ここは江戸の中でも物騒なとこだよ
ヤクザ、落武者、浪人どうしようも無い連中ばかり集まってくるのさ」
「そんじゃあ、俺はここに似合いの人間だ」
ごっそーさん。と銀時が手を合わせると立ち上がり、松葉づえを使い暖簾を潜るその一歩手前で年輩の女の人の方を振り返り
「婆さん、あんがとよ」
「今度くるときは、払ってもらうよ」
「忘れてなきゃ、払うさ」
年輩の女の言葉に
瞳を丸くした後、微笑を含ませ
そう言う銀時に
早速、忘れもんだと
年輩の女が渡してきたのは
小さな紙切れ
「何だこれ?」
「さぁ、知らないよ
医者のジジイが渡せとさ」
銀時が四つ折りのその紙切れを
懐にしみ
スナックお登勢の暖簾をくぐった
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