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忘れものと雨の足音
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「旦那っ!病院行きますよー」
「めんどくせぇ、ジミーくん一人で行ってこいよ」
「あんたが怪我してんだから、俺が行ったって意味ないでしょうが」
面倒がる銀時を山崎は玄関まで引きずるとあれ?と独り言を溢す
山崎は空を見ているようで、
空は厚い雲で覆われていて
今にも雨が降りだしそうだった
車での移動だが、念のため傘を持とうと
数本さしてある傘を取ろうとしたところ
見たことのない赤い傘がさしてあり
声をあげた
それも、見たところ女物の
「ジミーくん、行かねぇのか?」
「あぁ、はい、行きましょう」
この男所帯では余り見ることがなかったため硬直したが
妻帯者が間違って奥さんのものを持ってきたのだろうと納得をし、
その赤い傘の横の傘を取った時
後ろからんーと唸るような声がしたかと思うとあっ!といった声が聞こえ
後ろから、手が伸び赤い傘を取る
「返すの忘れてたっ!!!」
銀時が片手で顔を覆い、
ぶつぶつと恐怖の念が含まれた言葉を溢す
山崎は銀時の言葉から
誰かに借りたものだと知ると
驚きで銀時の様子をただ見つめていたのも束の間
「ジミーくん、病院はまた今度なっ」
そう言うと、もう松葉杖も要らなくなった身体で外に出る
「ちょっ、旦那ァ!?」
呼び止めるが、銀時は立ち止まる気配はない
松葉杖が要らなくなったといっても
まだ、肋の骨折は完全に治っている訳ではない、確かに前回の打診で治りが早いとは言われたが、安静にしてろとも言われた
山崎は、スタスタと遠ざかる銀時の背中をみやると、考える間もなく銀時を追いかけた
「あれ?あの家どこだっけ?」
「分からないのに歩いてたんですか!?」
「俺、意外と記憶力いいから行けるかと思ったんだけどな」
「何か目印とか覚えてないんですか?」
「道場ってことぐらいだな」
「最近、道場をやってる所なんてそうそうないですし、俺、聞いてきます」
山崎がそういい小走りに走って行くのを
遠目にみ、近くの橋に身体を預ける
「何なんだろ、アイツ」
銀時は溜め息を一つつくと、
聞き込みを手馴れた様子で行う山崎に目線をやる
何でそこまで構うのか疑問だった
ほとんどの隊士は関わることを避けている、別に嫌われるのは邪険にされるのは小さい頃から馴れているだから、よりいっそう疑問で仕方がない
「雨、きそうだな」
ふと、上を見上げると
さっきりより厚い雲が一面に広がって
今にも降りだしそうだった
※
「旦那、知り合いの家なんですか?」
「バケモンの家だ、ジミーくんも見ただろ、あの風呂屋で」
「風呂屋?……あぁ!あの女の人ですか?」
「あぁ」
「その傘ってその女のなんですか?」
「返すのにかれこれ一ヶ月ぐれぇかかっちまった」
「玄関先にでも、置いてきたらどうですか?」
「いや、そんなことしたらまた薙刀でも、飛んできそうだ」
銀時はよりいっそう深い溜め息をつくと、足を玄関に向けた
山崎はその半歩後ろを歩く
「ごめんくさーい」
そう言い、ガラガラと戸を引くが
誰も居ないのではないかと思うほど静かだ
「旦那、留守なんじゃ、」
「まーたッ、お前かァァああ!!!!!」
言葉の中途でその声と同時にダダダっという音が聞こえたかと思うと遠くに何か光るものが見えたと思った瞬間
山崎の顔の横に何かが飛んでゆき、
突き刺さる
「ヒィィィイイっっ!!!」
「仕留めそこなったか…って、あら、銀さんじゃないですか、もうあれから一ヶ月も経ったんですけど」
ニッコリと微笑む女の有無を言わせない威圧感に山崎はごくりと生唾を飲み込み、
銀時は手持ちぶさたの為か頭を掻き
若干震えた声で
「イヤー、ちょっと、野暮用がありまして」
「まぁ、いいわ。今は、そんなことより退治しなきゃいけないモノがあるから」
「退治しなきゃいけないって何か出たのか?」
「ストーカーよ、それもたちの悪い」
「そりゃあ、大変だな。それじゃあ、傘返したし俺は帰るわ」
踵を返し、既に戸に手をかけた銀時の
襟首を引っ付かみ、その足を止めさせ
「か弱い女の子が困ってるのを見捨てるきですか?」
「こんなことをする女はか弱い女の子に入らないんですが」
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