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忠告と疑惑
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山崎が現場に向かい、随分経った頃
少し先から見える黒い煙を銀時は
見上げながら、視線をそのままに
口元に運んでいたパフェを口にいれ
視線を戻す、パフェのてっぺんに乗っているアイスを掬おうとした瞬間、子供が勢いよく机にぶつかり揺れるその拍子にスプーンの照準がずれコップに当たると
カランカランと金属の音を響かせ
スプーンが落ちる
「…イッ」
それを拾おうと屈もうとした
拍子に痛みが走る。脇腹辺りを軽く抑え顔を歪めていると誰かの手がスプーンに伸び
拾われる
銀時は顔を上げると
スプーンが目の前に差し出される
スプーンを受け取り礼をいいつつ
その拾ってくれた人物を視界にいれると瞳が驚いたように見開かれる
「どういたしまして、まぁ、拾ってももう使えませんけどねぃ」
「何でこんなところにいるんの、君?」
「あんたがサボってたんで、俺もサボってるだけでさぁ」
「君ねぇ、俺はサボってるんじゃなくて休憩中なだけ」
「まぁ、サボりは気づかれないようにやるのに限りますからねぃ」
「おーい、話聞いてる?よく他人の話聞かないって言われんだろ」
沖田は店の外に視線をやっていたかと思うと銀時を凝視し
唐突に銀時の肩に左手をおき
顔の横に急に身を寄せてくる
銀時は少しこそばゆそうに身体をみじろかせ
沖田は髪に触れたかと思えば
スッと離れ
耳元で何かを囁き
直ぐに銀時から身体を離す
沖田は指先には綿のようなものを摘まんでいて、それをピッと指先で弾き飛ばす
「は?」
沖田の言葉の意味を確かめようと
問い返そうとするが
そこに沖田の名を呼ぶ誰かの声が響く、沖田と銀時は声の方を向くと
隊士が沖田を呼びに来たようだった
沖田は銀時の方を向き
「サボりもほどほどにした方が身のためでさぁ、気づいたときにはもう手遅れ、
足もと掬いとられた後かもしれませんねぃ
まぁその足もと掬うのは俺か他のやつか知りゃあしませんが」
「ちょっ、お前どういう」
「どうもこうも髪の毛に綿ついてたから取っただけでさぁ」
隊士が沖田の方に近寄り
沖田に声をかけるのを適当に返事をし、急かす隊士の言葉など気にした様子もなくめんどくさそうな表情を浮かべ出口に足を向ける
隊士は銀時に軽く会釈して
歩き出そうとした足が一瞬止まり
銀時に視線が注ぎ続けられた
「おい、何してんだ水城
さっさと行くぞ」
隊士の動きが止まったのに気づいた沖田は隊士の方を振り返ると
口をパクパクさせ銀時の後方を指差す水城をみて
眉を潜める
「何やってんだ」
「いや、あのあれ、桂じゃ?!」
「桂だぁ?」
沖田は水城が指差す方向を見ると
長髪の後ろ姿を捉えると
店内で物騒な機械を取り出し
ピッピッピッという機械音とともにバズーカが長髪めがけて飛んでいく
「あっぶねぇな、こちとらまだ完治していないっつーのに」
長髪が爆発の中から飛び出してきたのを見ると沖田は店を飛びだし水城もその後を追うように出ていき、
間一髪で逃げ切った銀時は横っ腹を擦りながらその後ろ姿を眺め
先程言われた言葉を思い出す
『あんた、気をつけた方がいいですぜ、色々と』
「気をつけねぇとな、ほんと
気づいたときには
怖い顔した店長がいんだから」
煙が薄くなり始めボヤッとだが見え始めた
さっきまで銀時が座っていたその場所に
まばらに散っているガラス
足が折れた机、椅子のぶっ壊れた
物を見渡し
おまけに
何故か近づいてきた怒り顔の店長に
溜め息と共にその言葉がこぼれ落ちた
※
「甘い匂いがすらぁ」
隊服の左袖に顔をやる
が、特に何の匂いもしない
さっき、髪についていた綿毛を取った時に薫ったあの匂いは
どう考えても隊服から匂うものではなく、あの銀髪からする匂いだとしか考えられなかった
「隊長?どうかしましたか」
「…いや、なんでもねぇ」
「それにしても、逃げ足が速いですね」
「しょうがねぇ、次は夕飯時を狙うとするか」
後方で溜め息をつきながらも
キョロキョロと辺りを見回す水城に適当に返事を返し
パカリと携帯を開く
時計を見るともう3時を過ぎていた
そういえば、昼を食べてないなと思い出し、水城の方に向き直る
「先に戻ってろぃ、俺はラーメン食べてから帰るから、土方さんに何か言われたら適当にごまかしとけ」
「あっ、はい。わかりました」
戸惑いながらも承諾の返事をした返した水城に背を向ける
それから、適当にぶらぶらと歩いて
いい店がないか見回していると
気になる会話をしている男連中が
通りすぎた
「さっきのは何だったんだ?攘夷志士が真選組助けてやがった」
「あぁ。あの、白髪の。
さぁなあ、だが、あの長髪
過激攘夷浪士の桂小太郎だろ?
アイツラの考えてることなんて俺らにはわかんねぇよ」
「そりゃ、違ぇねぇや」
手前の男の肩を掴み、
爽やかな笑みを浮かべる
「その、話。詳しく聞かせて貰えるか」
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