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結生(*)
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「人間…」
「俺は、獣みたいなもんでした……いや、今も、そうですから。押さえつけてないとすぐに俺の中で、なにかが暴れる。そして、気づけば何かを…誰かを、傷つけてる」
「なんとなくは由真から聞いたよ」
「俺のこと怖いと思いますか?」
「いや、結生らしくていいんじゃない」
「俺、らしい?」
「そう、結生……強いのに、弱い」
「…………」
「それに、俺は…どんな結生でも好きだ」
「そっか」
先輩は俺の身体に腕を巻き付けてくる。
「結生が、結生なら俺は好きだ。どんな最低な人間でも愛する」
「そこまでの価値が俺に、あるんですか?」
「俺を、愛してくれる。
俺を、受け入れてくれた。
それだけで、充分」
先輩の身体が俺の上に乗る。
恐ろしいほど、軽い。
「ねえ、結生。結生を殺していいのは、俺だけ…だよね」
細い指が俺の首に絡みつく。
「っ……」
なんでそんなこと、まるで、俺の心を見透かしたかのような、こと……
「俺、わかるの…結生が、何でそんなか」
「何」
「自分を、壊したいんでしょ。恐ろしいぐらい完璧な、自分を。榊家で、1番すごいのは由真じゃなくて、結生」
なんで、わかるんだ。
「あの、由真が弟にあんなに馬鹿にされて許せるのは、自分が結生より劣ってるのがわかってるから。アイツ、上の立場の人には従順だし。
でも結生は、自分は壊せない。
周りしか、壊せない。
そうでしょ」
「なんで、そこまでわかったんですか」
「結生のこと、見てればわかる。たとえば、俺の写真は欲しがるけど、ツーショットは欲しがらない。それは、自分の顔が嫌いだから。それに、鏡も嫌いだよね」
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