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将来の夢(*)
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「ん~、じゃ、1000円ごとに、1回俺の願いを叶えるってのは?」
「ふむ…」
「積立式とかじゃなくて、その時々でね」
「結生がそれでいいなら…俺はいいけど…むしろもっとすごいことでも…」
「これでいいんです」
先輩は、その生活からか、金銭に関わることに対する考えは厳しいようだ。いくら俺がおぼっちゃまでも、気が引けるらしい。
場所によっては顔パスでもいいぐらいの身分の人間なのだが、気づいていないようだ。(現にこのホテルはそうである。てか、うちの会社の系列である)
まあ、普段はしみったれた生活してるしな…俺ら兄弟。そう思えないのも無理はない。
誤解を与えないように言っておくと、俺は漫画の中の金持ちみたいに金さえあればなんとでもなるとか思っている訳では無い。学校でも待遇に差が出ないようにされている。
(由真はびみょーに権力乱用してる節はある)
「結生ってさ、榊の家の人間じゃん?」
「ん、そうですよ?」
「将来はそこで働くの?」
「はい。その予定です。もちろん長男とかではないので実力で入りますが」
「俺さ…自分でなにかの店、出したいの。だから商業系の学部に進みたいなぁとか漠然と考えてて」
「すごいですね」
「結生って何が好き?」
「せーー「俺以外で」
「…先輩の料理」
「料理…」
「その……なんでもいいんだったら、俺…先輩の洋菓子屋さんとか、見てみたいです」
「洋菓子屋?」
「はい…イケメン店主が、やってるそういう店って繁盛しそう。それにうちの会社、食関係が弱いんで強化しようと思ってるらしくて…完全に先輩の店ではなくなるけど、自由にできる店を用意することもできます……あ、1からやりたいとかだったら別にそれは気にしないでいいですけど」
「結生は、俺の料理で通用すると、思ってるの?」
「はい。自慢ではないですが、いろいろ良いものを食べてきた俺が、惚れ込んだものですから。特に甘いものは…絶品です。家庭内の設備でそんだけならちゃんとやったら恐ろしい進化を遂げるんじゃないかと」
「そうなのか…考えてみる。ありがと」
「なんで、店を持ちたいんですか?」
「……こじんまりでもいいから、自分が守るものってのが欲しいから。それに、その、父親……本当の……が、店を開いてるのを見て、かっこいいなぁって」
「そこって近いですか?」
「え、ああ、まあ…電車で行ける」
「遊園地はやめて、そこに行きましょう!!」
「え?」
「俺、先輩の家族に会いたいんです」
「…わかった。連絡するから、準備してて」
準備が必要なのはどちらかというと先輩の方である。
なにはともあれ、いろいろあって先輩のお父さんに会うことになった。
ドタバタである。
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