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アイ(ハルキ)
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俺の言葉を聞いた後、グラスをヒビがはいるほど握りしめた結生くんの手からは血が流れている。
それでも、彼はグラス、元グラス、ガラスの破片を握るのをやめない。
「ハルキ…止めなくて…いいのか?」
「多分、やばいヤツ」
「ん?」
「やばいね、この子は……ハルに、何かあったら…殺人をも笑顔でしちゃうような子だよ」
だって、ガラスを握りしめながらも、その顔は穏やかな笑みを浮かべているんだから。
痛みを感じてないわけでも、痛みに喜んでいるわけでもないだろう。
ただ、単純に、憎むべき人間が見つかって喜んでいる。
こういう子は、危ない。
理性的で、落ち着いていて、損得を理解して行動している。
でも、多分…1度ネジが外れたら、2度と戻らない。
「ハルキ、さん」
「はい?」
「わかりました。先輩は守ります。何があっても」
「そう、よろしく」
厄介な子に《アイサレテ》しまったようだな。
これも、遺伝というやつか。
どうか、この子のネジは、外れないで欲しい。
あいつみたいに。
「とりあえず、手あらいな」
「え?…あれ…すみません、グラス!!」
「いいよ。それよりほら、早く。包帯は裏の棚の1番上にあるから」
「ありがとうございます」
立ち去る彼を、見て、愛しい恋人はため息をつく。
「そっくりだな、あいつに」
「ああ。やっぱりそう思った?」
「ハルくんも、見る目があるんだかないんだか」
「……そっくりだけどさ、違うところが一つあるんだよ」
「何、それ」
「ストッパーがいる」
「ハルくんのこと?」
「違う。一つ上のお兄さんの…確か……由真くん」
「なんで知ってるの」
「榊家は有名だから。次男の由真と、三男の結生は、かなり仲がいいって聞いた」
それに、俺は本人を見たことがある。
結生くんとは対局で、彼は…
とても、弱い
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