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二話
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「おはようございまーす!」
俺がメイク室入りするとそこにはもう先客がいた。そう若槻さんだ。話しかけるチャンスじゃーん、と思って意気揚々と隣の椅子に腰掛けて左を向いたところ………寝てるし!!
けどメイクさんがやりやすい体制を維持して寝てるのがすごい、うん。
…………睫毛長っ!!
20分後、雑誌をパラパラめくっていると隣から起きたらしい声が聞こえてちらりと横を見る。
「う………ん………。」
若槻さんは背筋をぐ、と伸ばし目をパチパチさせている。そしてふいっと俺の方を向いた。そしてまた目をパチパチさせて彼は言葉を紡ぐ。
「………はふ…春瀬さん、おはようございます。」
あ、かんだ。なんか意外かも。
「おはようございまーす、若槻さん!………というか、俺のこと呼び捨てでいいですよ?敬語もなしで。」
いまだぼんやりしている風に見える若槻さんにいまだ!なんつって、仲良くなろう第一歩を踏み出す。
「(え、あ、え、本当にいいかな、っていやいや俺年下だし………)いやそれなら春瀬さんの方が歳上ですし、俺のことを呼び捨てにして下さいよ、それに俺に敬語使わなくていいいですから。」
お、おおー、なんかすごいいきなりシャキッとしだしたなおい。あっさり断られるし、いやでも俺から親しくしていけばいずれは…………………ってん?なんで俺はこんなに頑張ってんだ。でもまあ仲良くなるに越したことはないな、よし。
「じゃあ俺、言葉に甘えるね若槻くん。あ、せめて俺のことさん付けするのやめてね。」
相変わらず笑顔は見せてくれません。ついでに目も寝起きの時にあったきりでそれから1度もあってませーん、なんか悲しくなってくんなー!
「(さん付け以外かあー、なんだろ。あ、じゃあ!)春瀬くん、これからよろしくお願いします。」
ペコっと俺に頭を下げて若槻さん改めて若槻くんはメイク室を出て行った。やっぱクールだね。
********************
「はい休憩はいりまーす!」
スタッフさんのその言葉を聞いてフッと肩から力が抜ける。お昼ご飯を食べに行かないと。お腹空いた。取り敢えず食堂でいっかと歩き出すと目の前にさっと春瀬さん……じゃない春瀬くんが現れた。
「一緒にお昼食べない?」
目を直視してしまいパッと視線を下に落とす。合わせられない自分が馬鹿みたいだ、いつものことだけど。
「はいぜひお願いします。何処に食べに行きますか?食堂で?」
もう20代後半、人見知りなんてひどくカッコ悪い。出る言葉が素っ気なくなってしまう。
まずは笑顔をつくらなきゃならないのに。
「おー食堂で!じゃあ行こう。」
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