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放課後と再会 15歩 side 侑李
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決まって頼むのは、ココア。たまに、ココアとケーキのセットを頼んでいる。
「お待たせいたしました」
そう言ってカフェモカを差し出すと、柚月は本から目を離して、俺を見て笑顔でお礼を言った。
柚月とはこんな感じで顔を合わせていた。店員と客、それだけの関係。大学を卒業して、就職してしまえば会うことのない関係。
この時はそうだと思っていた。
就職して四年目の冬。仕事は三年間は修行と言われるが、本当にそうだと思う。
四年目にもなると仕事に慣れてきた。
仕事が終わって夕飯の買い出しのために一駅前に降り、スーパーからの帰りだった。
公園に蹲る人影があった。
「大丈夫か?」
「…こ、ろしてよ」
そばに行って声をかけると、その子は縋るように掴んでそう呟き、気を失った。
「おっと…」
慌てて支える。救急車を呼ぼうと思ったが、俺を掴む手が離れないから、仕方なくそのまま抱えて家まで連れて行った。
「こいつ…」
家に着いて明るくなった部屋で顔を見て、初めて喫茶店でバイトをしていたときのココアの常連客だということに気付いた。
それが柚月との再会。
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