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第二罪 「黒ト紫」Ⅰ
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………… 花賀城。
それは、この街の中心に位置する、一際目立つ派手な城のことである。
城を囲むように作られたこの街は、訪れた者共を、現から解き放ち、一夜限りの愛と快楽を与える。
故に、世間からは"吉原"と呼ばれる。
だが、この街には、遊女は存在しない。
男遊郭、吉原。またの名を、裏吉原。
男娼を弄び楽しむ貴族の男性も居れば、一夜の夢を買い美男に酔いしれる婦人も居る。
眠らない街、それがこの吉原だ。
そんなやりたい放題に思えるこの街にも、掟というものがある。
それを司るのが、かつて傾城と呼ばれた、城を傾かせる程の美貌を持った男花魁。
今や、その傾城の名は、売春することなく、美貌と共に何者にも負けぬ強さを持つ者に与えられる。
傾城の名を取る者は、街の秩序を守り、男娼を守る。
現在の吉原に存在する傾城は、二名。
幼い頃にこの街に売り飛ばされ、
成長するにつれ瞬く間にその美貌を買われ、
自分の頭脳と、恐るべきテクニックで、
街一番の男娼へと上り詰めた男。
その名を、紅(アカ)。
またの名を、傾城 黒椿(クロツバキ)。
先代の傾城であった周が、愛に溺れ成した子。
誤ちの子供と蔑まれながらも、
その美しい容姿と全てを魅了する視線で、
瞬く間に人々を虜にし、
花賀城の頂点に君臨する男。
その名を、雅。
またの名を、傾城 紫揚羽(ムラサキアゲハ)。
この二人が君臨するこの街は、
いつも美しくきらびやかで、
どこか儚く寂しい街だ。
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