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序章 - side Miyabi Ⅱ
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俺の顎に手を掛けて、強引に上げさせる。
"俺"は、泣いているらしかった。
「紫路鬼(シロキ)…」
自分のものとは思えない程、掠れ乾いた声が"俺"を呼んだ。
『あぁ、そうだよ。
そうやって俺の名を呼べ。
俺がお前の望みを叶えてやる。
お前が望む力をやろう。
さぁ、その身は誰のものだ?』
先程までとは打って変わった、甘く妖艶で、誘惑する音色が鼓膜を小刻みに震わせた。
だが、それは紛れもなく聞き慣れた自分自身の声で、だが、自分の声帯から発せられたとはとても思えない艶やかな響きに、頭がおかしくなる。
「…お前のものだ、紫路鬼」
もう、無意識としか思えない声が口から漏れる。
耳鳴りが思考を奪っていく。
頭が、働かない。
ふわふわと、夢の様な罠の様な感覚の中で、
『それでいい…ミヤビ』
"俺"の声が響いて痛かった。
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