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思い通りになってたまるか
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「俺が小学校の時だ。
親父の暴力に母親が耐えきれなくて、離婚した。
母親は水商売をやってたから、俺が邪魔だと思ったんだろうよ。
俺を親父に押しつけやがった。
…それからは、ひどい毎日だ。
殴られ、蹴られ、部屋に皮膚と皮膚がぶつかり合うような鈍い音が響かない日はなかった。
酒を買ってこいだの何だの、パシられる毎日。
殴られる事なんて、日常茶飯事。
…そのうち親父がアル中で死んだ。
全てがどうでも良かった。
でもある時、俺は気付いた。
俺の中に、親父と同じ狂気が流れていることを。
壊したい、いたぶりたい。
親父が死んで楽ににれると思ったら、そんな思いと葛藤しなきゃならない。
うんざりだった。
…だから、考えることをやめた。
それだけだ。」
じゃあ…考えることをやめて、素直に欲に従ったって言うのかよ。
そんなの、そっちの方が苦しくないから、逃げただけだ。
…ま、そんな偉そうな事言う権利は俺にはないが。
「…で、京は俺になんて言って欲しいわけ。」
「生意気言うな。
慰めろと言っているわけじゃない。」
「…大変だな、京も。
俺が言えるのはコレだけだ。
京の欲しい言葉を多分、俺は言えない。
わりぃ。」
「別にいいと言ってるだろう。
俺はおまえの全てを手に入れるために話したまでだ。」
…前々から思ってたけど、コイツなんでこんなに俺にこだわるんだよ。
俺みたいなの、その辺に転がってるだろ。
何で俺なんだよ。
「…そこまで俺にこだわる理由って何なの。」
「お前みたいに威勢が良くて快楽に弱そうな顔をしていて、
尚且つ快楽に屈しまいと努力するヤツは中々いない。
だから固執した。
お前のようなヤツは滅多にいないからな。」
は、なんだよそれ。
ふざけんな。
そんな理由で…!!
…いや、待て。
ほかにどんな理由がある。
それとも俺は、好きだからとでも言って欲しかったのか?
違う。
違うだろ。
俺は…
「俺は…ッアンタのオモチャじゃない!!」
「約束したはずだ。
全て話した。
お前は俺のものだ。」
「冗談じゃない、そんなもの…!!」
「口約束だから覚えがないとでも言うつもりか?
それとも逃げるのか?お前は、俺から。」
逃、げる…?
考えたこと無かった。
そうか、そういう選択肢もあるのか。
でも…
「俺は逃げない。
約束は守る。
…でも俺はお前には従わない。
もちろん俺の全てはお前のものだ。
ただし自分の所有物がなんでもかんでも自分の言うことを聞くと思うなよ。
俺は人間だ。」
「…フ、一筋縄ではいかない、ということか。
面白い。
必ず俺無しでは生きられない身体にしてやるよ。」
「…ッ、」
その鋭い瞳にゾクリとしながら、俺は睨み返した。
「俺は絶対お前の思い通りにはならない。
なってたまるかよ…!!」
そう吐き捨てた後、俺は部屋を出た。
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