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【春】side史記 きっかけ1※
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きっかけは、打ち上げ後の軽い会話だった。
「あー、もしかしたら、違ってたら本当に悪ィ」
そう前置きして、問われた。
「お前って、俺を『そういう』目で見てない?」
『そういう』が何を指しているか、心当りがありすぎて、明らかにこわばった俺の顔を認めて侑はくすっと笑った。
「え、マジで?」
アルコールで赤くなった目尻が愉快そうに細められる。
「史記ってそっちの人?」
からからに、のどが渇く。
はっきりと、否定すべきだった。
違うと。
でも、本当のところは、俺は『そう』なのだから、動揺のあまり、動けない。
今までやってきた所よりも、一回り大きい箱のライブハウスを周るツアーが一段落したところだった。会社の方で、ビジネスホテルにそれぞれ個室を取ってもらっていて、メンバー全員同じフロアのシングルだった。
俺の部屋に侑は乗り込んできた。俺はやはり動けないでいる。
と、侑はどっかとベッドに腰を下ろした。
「お前、かわいいし、いいよ」
「はっ?」
「男なんて、絶対無理と思ってたけど、史記のことはまあ好きだし? そもそも嫌いな奴とバンドなんか組みませんし? きれいな顔してるし、あんまり嫌悪感はない。だから別にいいけど」
面白そうに笑った。
「でもオトコとヤるの初めてだから、教えてよ」
俺のことを嘲っているのかも。
そんな笑みだった。
「お前は、知って、いるんだろう?」
確信しているようで、それはそう、だって正解なのだから。
俺はふらりと足を向け、かがんでみせた。
間近に迫る焦がれた唇に、俺は吸い寄せられるように、口付けた。
キスは同じ。キスだけなら、男女そんなに違いはない。
そう言い聞かせて、侑もそう思っているはずだと信じて、俺はしたいようにすることにした。
唇同士を合わせるだけなんて、もったいない。掠めたのは一瞬だけだ。
俺は舌を滑り込ませる。予想した以上に積極的だったからだろうか、侑の体は一瞬硬直したようだ。けれど、俺が気付かない振りをしているうちに、侑も元に戻った。
よかった。
俺は侑の唇の内側を舐めて、歯列をなぞる。彼の舌に絡みつける。
唾液がたまって、二人の間を行ったり来たりする。
侑も黙っていない。普通にノってきた。
くちゅくちゅと音が漏れる。吐息だけが二人を包む。
「ん……は、あっ」
侑としているんだと思うと、これくらいでもう興奮して声なんて出してしまう。みっともない。俺ががんばって抑えるよう励む。
でも舌を絡ませるのはやめないし、もうやめられない。
気持ちいい。
俺は侑を押し倒して馬乗りになる。
唇はほぼくっつけたままの動きで、俺は自分に苦笑したくなる。
やばいって。がっつぎすぎ俺。
でも自分の動きを制御できなくて、キスはやまんない。
唾液が二人の間を行ったり来たりする。
息が荒くなるのも自覚しながら、俺は侑のシャツに手をかけた。
かけた所で押さえられた。
「そっちが先に脱げよ」
侑だってやる気満々に俺のキスに応じていたのだから、脱がされるくらいどうってことないと高をくくっていたのに、この展開ってナニ。
俺の上着をあっさり剥ぐ侑。ちょっと、コレ、って……。
「侑……おい」
「何だよ、今更怖気づいたとか言うなよ。ノリノリだったくせに」
「いや……じゃなくて。俺の裸なんか見て、それでお前いいの?」
「何度も着替え見ててますが?」
「そういう意味じゃなくて。だから……その……さあ……」
ノーマル――だろう? あれだけ女好きなんだから――のお前が、野郎の裸の上半身なんか見てヤる気が持続するとは思えない。
別に……キスだけでも俺は……イイけど。
とはいえ。
ここで『ハイ無理でしたごめんねごめんねー』とか終了されたらされたで俺は――やっぱ……ヘコむ。
「ぐだぐだうっせーなぁ。さっさとヤらせろよっつーの」
舌打ち侑は完全剥かれてしまった俺の胸に手を伸ばす。
オイオイいいのか、ヘテロ野郎。
「乳首って感じる、のか?」
「ちょ、ま……っ」
真っ平らな胸を触ってきやがった。
「いい色してるねー」
「や……まて……ってば、侑!」
「何で? 男でも感じるんじゃね? ど?」
「あ、や、や……まっ……ほんと……やめ……っ」
「ピンクだぜ……つか立ってきた……」
押されて、つままれる。やばくなってきた……。
ひっぱられて、俺は情けない声を出してしまう。
「あ……っ、ひぁぅっ……や、やめっ……あ、あぅっ……やぁっ」
侑がぺろりと舌舐めずりする様にさえ、俺は煽られてしまう。
「……いーい声。出せるんじゃん」
俺は侑の上にまたがったままで、見上げる侑にいい様にされてしまう。侑の両手でもって、俺の両の乳首をいじくられる。
「あぅ、は、はぁ……侑、侑……あ、ああっ……ひゃっ」
「感じる? て、愚問かね」
頬が熱い。
「あ、あ、あっ……やっ……」
「……すげえな」
侑は単に感心しているのか、引いているのか、それすらも俺の頭は判断できない。ただ与えられる刺激に反応することしか。
「しかも、当たってるし」
「……ッ! あっ」
「乳首いじられて勃つか普通」
俺は情けないほど感じていて、呆れ声の侑の指摘通りの状況。半ば芯を持ち始めたそれが、密着する侑の腹に当たっているのは事実。
恥。
でも侑は楽しそうで。
「気持ちいいんだ」
「わ……るかったな……っ、そっちがヘンに触るから」
「ヘンって失礼な。お前のやらしー乳首がいじれって言ってるからだろ……ホラ、こーゆーふうに」
「あ、や……あふんっ……ひゃ、あ、あっ」
「ほーら変態」
やってるのはそっちだろ。
俺もちょっとキれた。
そっちがそのつもりなら……。
「うるさいっ」
言って俺は身をかがめる。
侑のベルトに手をかけた。
同じ男だ。脱がせ方は任せてほしい。
カチャカチャと金属の音を立てている間、侑は呆気にとられていただろう。
俺は侑のを取り出して舌を這わせた。
「……!」
さすがに侑も驚いたようで、少しは震えた。
躊躇なくやる俺をやり方に、戸惑っていたのは最初のうちだけで、すぐに奴も興奮しだすのがわかった。ちょっと楽しい。
最初は舌先だけ。つ、と形をなぞるだけ。
それから食んで、唾液をたっぷり垂らして
咥える。
ぴちゃぴちゃ音を立ててやる。
すっぽり咥えて、さらに舌も使ってやる。
だんだんと、侑が固くなっていく。それって俺の快感でもある。
侑の息が荒くなって、同時に俺もで、しかも、より恥ずかしいことに、舐めてるだけで俺のは完全に勃ち上がっているのだ。
――当たり前だろ。
『侑』を咥えてんだ……。
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