アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
チョロ松が就職する話 ⑤
-
――――一人暮らしを初めて数ヶ月経ったある日――――
平日ながら、休みな僕は朝ゆっくり出来ることに感謝していた。
「今月、ヤバいから今週来週いっぱいカレーかな。」
お金が底を付きそうなのと野菜が腐ってきているので一石二鳥なカレーを作って、余ったのは冷凍庫で保存しておこう。
「カレー煮込み始めようかな。あ、でもその前にお米が無いんだった。」
お米だけは買いに行こう。
近くのスーパーへ行くか。
そうと決まれば着けたエプロンを外し、軽く上着を羽織りエコバッグに財布を入れ、靴を履き、外に出た。
――――数分後――――
「近くにスーパーがあって助かった。」
スーパー行くと余計な物買いそうなんだよね。
ま、買うお金も無いけど。
カンカン‥‥‥‥‥‥
ここ階段長くてキツイんだよね。
僕が住んでるのはアパートで三階の丁度真ん中の部屋。
ただ三階に上がるまでの階段が長くてキツくて。
「チョロ松!」
誰かに名前を呼ばれた気がして振り向いた。
「え?カラ松?」
振り向いた先にはカラ松が。
隣町と兄弟が住んでる場所は近くなければ遠くもない。
にぱぁぁと笑顔でこっちに向かってくる。
「ど、どうしたの?!こんな所に。」
向かってくるカラ松に駆け寄る。
「ちょっと散歩がてら来たんだ。いつもの道歩いていたら見た事無い細道を見つけてな、冒険してる気分でつい来てしまった。それでチョロ松をみつけたんだ。」
「散歩って‥‥‥‥歩いて来たら結構かかったでしょ?!」
「楽しかったからな、時間なんて気にしてなかった。ただチョロ松が住んでる所の特徴と似てると思ってな。」
「そこで丁度僕を見つけたと。」
「そう言うことだ。お、米持ってるのか?重いだろう?持つよ。」
「一人分のお米の量なんてたかが知れてるから大丈夫だよ。」
「いや、持たせてくれ。」
「じゃあ、お願いしようかな。」
たった10kgのお米を譲り合う成人男性ってなんだかおかしなやり取りだ。
お米をカラ松に任せて三階まで上がる。
最初に三階に着いた僕はお米ごとカラ松を支える。
「大丈夫?重かったでしょ?」
「大したことないさ。じゃ、俺は家に帰るな。」
寂しい、行かないで、まだ話していたい、このままじゃ今日は眠れない。
「も、もし時間があるなら家、寄ってかない?」
「え?!良いのか?!」
「もちろん。それに夕飯カレーにしようと思ってて、カレーも食べてかない?」
ちょっと強引だったかな‥‥‥‥‥‥
「カレーまで?!チョロ松のカレー美味しくて好きだぞ!!」
「よし、決まり!直ぐ用意するね。」
久々の兄弟の会話で心が弾んだ。
――――夕食――――
「はぁ、美味しかったぞ!!!ご馳走様!」
「喜んでもらえて何よりだよ。」
一人では大き過ぎる鍋も二人なら食べる量が違う。
ましてや、パワーしか取り柄のないカラ松が食べるとなると一二杯じゃきかない。
ケド、結構大きめの寸胴なんだけどな‥‥‥‥‥‥
「なんだろうな、すごく落ち着く。」
ご飯の後寝転がるのは行儀が悪い。
けどとても幸せそうな表情でカラ松がこっちを見るからつられて笑顔になる。
「急にどうしたんだよ。」
ケラケラと笑いながら聞いた。
「いや、この頃誰も落ち着けていない様な気がしてソワソワしているんだ。俺も今やっと気が抜けた様なんだ。」
僕が出ていった事がそんなにも家族に影響しているのか?
「やっぱり出て行かない方が良かったのかな‥‥‥‥」
「それは違うぞ、チョロ松。チョロ松が就職したいと言う気持ちも自立して一人暮らしするって言う気持ちも全部正直な自分の気持ちなんだ。それを兄弟の為に潰すのは俺が許さない。まぁどんな思いでいても行動したのはチョロ松自身だ。」
カラ松に限らず多分皆、同じ事を言うと思う。
お腹いっぱいになったのか、野生本能そのもので生きてるのか瞼が閉じ始める。
「カラ松、眠いの?」
「あぁ、ゆっくり出来てなおかつ腹がいっぱいだからな。なぁチョロ松、今日良ければ泊めてくれないか?あ、もし明日が仕事だったら帰るんだが‥‥‥‥‥まだ話足りないみたいなんだ‥‥眠いのに寝るには惜しい気持ちなんだ。」
カラ松‥‥‥‥僕、嬉しいよ。
「明日は運良く土曜日で休みだし、僕もまだまだ話した倒したいから泊まってって。なら、お風呂の用意するね。そのまま寝ないでよ!!」
「おぅ!待ってるぞ。」
久々に胸が踊ってる。
心臓が高鳴って、静まらない。
落ち着いて、深呼吸。
兄弟と話せただけで僕はこんなにも嬉しくなっている。
これがカラ松じゃなくておそ松兄さんだったら‥‥‥‥‥‥
カラ松が嫌なんじゃない。
おそ松兄さんが良いんだ。
好きなんだ。
認めてこなかった感情に今火がつく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 24