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☆バレンタイン☆ 1
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明日はバレンタイン。
料理が全く出来ない咲は、随分前から悩んでいた。
(どうしよう…市販品じゃなくて、手作りを渡したいけど)
生徒会で、生徒1人1人に一口チョコを渡すことになっていたが、恋人にはちゃんとしたバレンタインチョコを渡したい。
(…こ、恋人)
愁の事を考えるだけで、胸がキュンッとなる。
一緒の部屋に住んでいるのに、愁が近くにいるだけで『好き』が溢れてきて、未だにカチコチに固まってしまう。
だから、この想いをもっと伝えたくて手作りをしたいのに。
「どうしよう…チョコ」
思っていたことを、口に出してしまっていた。
「咲ちゃん?どーしたの?」
顔を上げると、松子が心配な顔で咲を見ていた。
「っ!松子さ~ん!」
咲は、涙目で松子に抱きついた。
どうにか、事情を話した。
「…愁にチョコ作ってあげたいのに、僕、何をしたらいいのかわからなくて」
「明日、バレンタインだものねー。よしっ!私が教えてあげましょう!」
「本当に!」
ぱぁっと、咲の顔が明るくなった。
「咲ちゃんに、涙は似合わないわよ!愁くん、甘くても平気?」
「うん、甘いのは好きだって。よくパフェとか一緒に食べるよ」
「じゃあ、明日の為に作っちゃいましょ!!」
「はいっ!!」
こうして、松子に手作りチョコを教えてもらった。
(冷蔵庫に入れてもらったから、明日取りに行って愁に渡そう!)
ルンルンッとしながら廊下を歩いていると、ちょうど自分達の部屋に入る愁がいた。
「愁!」
走っていって、愁に飛びついた。
「咲、どこかに行っていたの?」
咲の頭を撫でながら、愁が聞いてきた。
「うん!あのね…」
そう言いかけたけど、口を塞いだ。
(『チョコ作っていた』って、言っちゃうところだった!)
「えっと…松子さん、ううん、食堂に行ってたの」
どうにか誤魔化したと咲は思っていたが、嘘がつけない咲の精一杯の誤魔化しは、愁にはなんとなくわかってしまっていた。
そして、ほのかに香る甘い匂い。
が、愁は何も言わずに咲を強く抱きしめた。
「し、愁?」
動揺している咲が、可愛くて仕方ない。
「咲、大好きだよ」
「っ!!僕も…大好きです」
(僕も愁の事、いっぱい大好きなのに!愁の一言は、僕の何倍も強く聞こえる)
明日はその何倍も強く愁に『大好き』と伝えなくちゃと、愁を抱きしめながら咲は思っていた。
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