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☆バレンタイン☆ 3
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早歩きしながらも、慌てて食堂に行く。
行く途中に複数の生徒に会ったが、みんな今日のイベントを心待ちにしているらしく、浮かれている。
「咲姫!チョコ楽しみにしてるよ!」
「はい」
「ねー、姫へのチョコ渡し、どうしても駄目なの?」
「ええと…」
囲まれそうになったところで、颯人が部屋からちょうど出てきたので助かった。
「姫へのチョコ渡しは、会場が混乱するなら無し。咲は忙しいんだから、そこまで!咲、行くよ」
「はい!」
(あれ?僕、食堂に行くって言ったっけ?)
首を捻ったが、颯人は食堂に付き添ってくれた。
「おはようございます!」
「おはようございます」
朝食の準備をしようとしていた、松子と竹子と梅子がいた。
「咲ちゃん、颯人くん、おはよう」
「珍しい組み合わせね。パートナー換えたの?」
「いえっ!」
「飽きて、乗り換えた」
2人共、違う返事をして笑われた。
「咲ちゃん、出来ているわよ!」
「本当ですか?」
咲は、厨房の冷蔵庫を開けた。
「あら、今年も颯人くんは茉莉くんに、チョコ作ってあげないの?」
「あげません。茉莉から、もらえるので」
「茉莉くん、一生懸命だったわよ~!」
ケラケラと、梅子が笑った。
茉莉は梅子から、チョコ作りを教えてもらったらしい。
「すみません、出来の悪いヘタレの指導をしてもらって」
「いいのよ~。楽しいから」
「颯人先輩、僕よりも茉莉ちゃん先生の方が高度だと思うけど…」
冷蔵庫に自分の作ったチョコを取りに行った咲が、近くにあった茉莉が作った物を見てしまった。
自分が作ったチョコが入っているトレイを、持って来る。
「いいの。アレ作れって言ったの、俺だから」
「それに比べて…僕のは」
トレイを見せる。
「ビスケット入りチョコ、美味しそう、愁が喜ぶんじゃない?これは」
「でも形が、歪なんです…」
「咲、形じゃないだろ?愁を思う心は、誰にも負けてないんだから」
「そうよ」
「咲ちゃん、頑張ったんだもの」
そう言ってもらえると、嬉しい。
「はい…」
ニコッと笑うと、みんながニコニコする。
「さ、ラッピングしましょうね」
「はい!」
ココアパウダーを振りかけていると、茉莉が来た。
「梅子さん、ケーキ取りに来た…!!」
茉莉は颯人の姿を見て、固まった。
「おはよう」
颯人は気にせずに、茉莉に朝の挨拶をしている。
今日の為に、別々の部屋で寝たらしい。
「は、颯人!駄目だろ!!まだ早いって!」
「違う、咲を送りに来たところだから」
「茉莉くん、焦りすぎ」
竹子に笑われる。
「や、渡すのわかっていても…颯人がいるのは緊張するって」
「はいはい。邪魔者は帰ります」
入り口に出ていく颯人。
「邪魔者ではないけど!颯人もう少し待ってて。今、完璧にするから」
そう言って、2人で廊下に出ていってしまった。
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