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入学式 2
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天が心配するのも無理はない。
咲は同級生に比べて背丈も小さく、容姿は女の子と間違われる位、可愛い。
そしてここは男子校。
目立たない方がおかしい。
今は入学式の前で皆が緊張していて、それどころではないが。
咲は、小さい頃から変な人につけ回されたり、誘拐されそうになったりと苦労していた。
1人っ子で、両親はとても咲を可愛がっていたので、この事が不安になり色々と窮屈な制限を設けられてしまった。
学校に行くのも帰るのも送り迎えをし、家から外に出て遊びに行く事も出来なかった。
咲も本当は同級生と遊びたかったが、そんな両親に心配や迷惑をかけないようにワガママも言わず過ごしていた。
そんな時、天が咲の家に遊びに来た。
同級生だったがそこまで仲が良い訳でもなかったので驚いた。
両親も驚いていたが、家の中で遊ぶならと快く迎えてくれた。
天は当時から体術が習える道場に何ヵ所か通っていた。
家にはさまざまなトロフィーが飾っていて、よく試合に出ては表彰台の一番上に必ず登り、トロフィーや賞状を咲の家に持ってきて咲や咲の両親に見せていた。
天の説得もあり、天の家に遊びに行けるようになったし、近くの場所まで行って帰るまで許された。
この全寮制の高校も、どうにか許しを得て入学まで出来るようにしてくれたのも天のお陰だった。
だから高校に入っての目標は、"自立"出来ること。
両親や天という大きな安心が出来る居心地の良い場所とはお別れして、新しい自分で決めた場所に行けるようになりたい。
反対されるかもしれないが、心に決めていた。
チャイムが鳴った。
咲も教室に向かおうとして振り向いた直後、誰かの肩にぶつかり体勢を戻そうとしたのだが、さらに他の誰かの肩にぶつかった。
「っ!!」
どうにか足を踏ん張って、体勢を戻そうとしたのだが、今度は誰かの足に引っ掛かる。
体力が無いせいか、それとも足腰が弱いのか、体勢を戻す事が出来ずにいた。
(床にぶつかる!!)
どうすることも出来ずに、出来るだけ衝撃だけでも軽くなるように身を…丸めた。
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