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再会と説明と 3
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一番疑問に思っていた事を聞いた。
「そうだよね、いきなり過ぎたよね」
愁は少し困った顔をした。
「どこから話をしたらいいのかな…」
右手を口元に置いて少し考えた後、口を開いた。
「この学校の制度について、まず話そうかな」
愁は立ち上がり、自分は机から冷めたコーヒーを持ってきて、咲用に綺麗なコーヒーカップを用意する。
「コーヒーは飲める?」
「大丈夫です、飲めます」
コーヒーを入れてくれた。
部屋にはコーヒーの香りがほのかが広がった。
「姫制度は、創立当時からの制度なのはパンフレットにも書いてあったのだけど、生徒会長になった人が姫を決めるんだよね…」
(パンフレットに確かに書いてあった)
咲はコクリと頷く。
「まぁ、今は昔ほど規律が厳しく無くなったからピアスとか、外出とかにうるさくないのだけど生徒の息抜きっていうのかな。厳しいときは厳しく、生徒らしい緩さも大事だと」
「はい」
「姫は高校の時の期間限定の、生徒の癒しとして必要とされているんだよ。だから姫という事は身なりも女性らしく女性の服を着る事になっているんだよね」
「…女性の服ですか?!」
「それは学校の必要経費で買うから、好きな物を着れる。今年は専属のデザイナー兼スタイリストがいるから」
「…すごいですね」
何ともスケールの大きな学校だ。
「その話を踏まえて、俺は生徒会長だから君を姫に選んだ一つ目の理由なんだけど…」
そう言うと、愁は目の前のコーヒーを勧めた。
咲がカップに手を伸ばして口を付けたのを見てから、愁も自分のカップに手を伸ばした。
「3月に前の生徒会長と理事長、校長から生徒会長に任命されて、でも姫は原則決めなきゃならない。在校生になって欲しい人がいなくて。そんな時に入学の書類で君を見つけたんだ」
愁は真っ直ぐに咲を見つめた。
「目がそらせなかった、ただ、それだけだった」
優しい顔で見つめられて、どきっとする。
「強制的に姫にしようと思ってなかった。式の前に君を一目見てから決めようと思っていて…」
愁は少し考えていたが、はっきりとした口調で言った。
「でも結果的に強制になってしまっているから、断ってくれていいよ」
「え?」
愁は咲が断りに来たと思っているらしく、断られる事前提で話をしているみたいだった。
「一応、説明をするっていうだけだから無理に姫にならなくていいよ」
「…いえ、無理してないです」
(助けてくれた、あなたに会いたかった)
ほんの些細なことかもしれない。
でも、興味が湧いてしまった。
「もっと、あなたの事が知りたいです」
思わず口に出てしまった。
手のひらで口を押さえたが、愁の顔を見ると聞こえてしまっていて驚いた顔をしていた。
「俺の…事?」
咲は顔が熱くなるのを感じた。
今日初めて会ったばかりなのに、自分は何を言っているのだろう…。
慌てて、先ほどの愁の言葉を借りて付け足した。
「あ、あの…一つ目の理由ということは、何か他にも理由があるのですよね…?」
愁はうなずいた。
「うん、俺自身の事でもう一つある。君を姫に立候補をした二つ目の理由」
「はい…」
「うん、それはね…」
トントンと、ドアから音がしてその後にガチャッとドアが勢いよく開いた。
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