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寮にて 3
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咲は手首を掴んでいた天の手を振りほどき、天の手のひらを握った。
「この学校にしようって決めた時のこと、覚えている?」
「あぁ。実家に近くて、将来大学に行くのに優遇されているから」
「うん、高校まで一緒に入れるねって言ったよね」
「…」
「今まで天ちゃんには、すごく感謝してもしたりないぐらい良くしてもらっている。でも、だからこそ駄目なんだ」
天は何も言わずに、咲の言葉を聞いていた。
「…天ちゃんも、わかっているはずだよ。僕といつまでも一緒にいることが出来ないって。そして、僕もすぐに何でも出来るわけじゃないって」
「…わかってる」
天は押し殺した声で言った。
「助けて欲しい時、天ちゃんにお願いすると思う。その時は助けてくれる?」
「っ!当たり前だろ!」
「天ちゃん、お願い。生徒会のお手伝いって言っても僕じゃ全然役に立てないかもしれない。…けど、ほんの少し手伝うだけだから」
はぁ…と天がため息をついた。
「…」
じっと咲を見ている。
天は意外に咲に対して、弱い。
観念したらしく言った。
「…絶対、何かあったら言うんだぞ!!」
「うん!」
「変な事されても!」
「そこは大丈夫だって」
「…わからないだろ!咲の頑固者っ!!」
「天ちゃんっ、ありがとう!!大好き!!」
手を離し、天に抱きついた。
「クソッ、一緒にいたくないって言うなよ」
「言ってないよ!」
天は諦めた様に、咲の頭を撫でた。
「…良かったですー」
こそっと大弛がドアの隙間から覗いていた。
「お前!見んじゃねぇよ!」
少し涙目の天が言う。
「…天さんっ!俺の胸、貸しますよ?」
「いらん‼」
大弛に対して怒っている天を見て、咲はホッと胸を撫で下ろした。
とにかく、天の許しが出た。
それがすごく嬉しかった。
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