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4日目 6
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愁は止まらずに進んできた。
「クソッ、名前も知られているなんて。こうなったら!」
短髪の男が、愁に向かって勢い良く走って来る。
寸前の所で愁は身をかわし、勢いが止まらない男は前のめりに転けた。
「~てめぇっ!!」
短髪の男は頭にきて愁の方を向いた瞬間、入り口から視聴覚室に入ってきた天によって腕を捻られる。
「いてぇ~!離せって!!」
相方の悲鳴を聞いてもう1人の男は、ナイフを咲の首に押しつけた。
「寄るな!」
しかし、愁は躊躇いもせずに言った。
「咲に!これ以上ひどい事をしないで欲しい」
男はその気迫に蹴落とされ、震えだす。
そして、愁に向かって咲を押しつけると、ナイフをこちらに向けて襲いかかってきた。
「っ!咲っ!!」
天が大声を出した。
愁は咲を抱きしめて、咄嗟に身体を半回転させ自身の身体にナイフを受けた。
咲の身体にも、刺された衝撃がくる。
「うっ…」
愁のうめき声が頭の上から聞こえて、愁の体重がのし掛かる。
「あ…」
男の弱々しい声が聞こえた。
「愁っ!」
咲は慌てて顔を上にあげ、確認しようとした。
その時…指にぬるっとした、温かい感触を感じる。
指を見ると真っ赤な血が、愁の血が付いていた。
「!!やだっ、愁!!」
咲は慌てて愁を見た。
愁の顔はみるみるうちに血の気が引き、青ざめていく。
「ここで何をしている!!」
入り口には、息を切らした茉莉と颯人が立っていた。
「わあぁぁぁっ!」」
ナイフを持っていた男が、ナイフをその場に落とした。
「…愁!!」
血の付いたナイフを見て、颯人が走って愁の所に行く。
「咲…怪我は?」
弱々しい声で愁が話す。
「僕は大丈夫だから!」
咲は涙が溢れていた。
「愁、喋るな!今、止血するからっ」
愁の二の腕から次々と血が溢れてきて、着ていた白いYシャツが赤く染まっていった。
颯人は自分のネクタイを取り、愁の肩をきつく縛った。
「僕のも使って下さい!!」
咲も震える手で、ネクタイを外した。
颯人は咲のネクタイも使い、更にきつく縛る。
「さて、救急車と警察だな」
茉莉はスマホを取り出した。
「茉莉…先生、警察は…呼ばないで、下さい」
愁は力を振り絞って言った。
「愁、本当にそれでいいのか?」
「…はい」
はぁ…と茉莉は、ため息をついた。
「お前がそう言うなら…。だが、救急車は呼ぶからな」
茉莉はスマホを持ち直し、119を押した。
「…咲、ごめん。俺のせいだ」
「愁っ!しゃべらないで」
涙が止まらない。
咲の涙を愁は親指で拭った。
「怖い思いを…させたね」
「愁が怪我をした方が嫌だよ!」
「うん、…ごめん」
「謝らないで」
「謝る…ついでに、もう1つ」
愁は涙を拭いていた手を、咲の頬に触れた。
そして愁は、咲にキスをした。
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