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5日目 4
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咲が脱いだ服を、颯人がたたみながら言った。
「…咲、また身内贔屓を言うんだけど。愁の事、どう思っている?」
咲は勢い良く、颯人の方を向いた。
「…あのっ」
隠すつもりはない。
でも急に聞かれたことで、なかなか声に出せなかった。
「愁の事を、諦めないで欲しい」
颯人は咲を見た。
「愁は、諦めるのに…慣れている」
颯人は静かに言った。
「今まで自分が人と違って色が付かない世界でも、ただ自分が見ることを諦めればいいと考える奴だから…」
咲にも、その気持ちはわかる。
自分さえ諦めれば良い…と思ってしまう。
「そんな愁が咲には興味を持って、好きになった」
そうだ。
確かに昨日キスをされて、愁から『好き』と言われた。
だから、颯人には素直に答えた。
「僕も、愁が好きです!」
颯人は、咲の頭を撫でた。
「愁が臆病で弱気になっているから大変だと思うけど、愁の事をよろしく頼む」
颯人は、頭を下げた。
「は、颯人先輩!頭を上げて下さい!!」
咲はびっくりして言うが、颯人はそのまま動かなかった。
「はい!!」
それを聞いた颯人は、ようやく頭を上げた。
表情はホッとしていた。
無口な颯人が、ここまで言ってくれた。
咲も自分の気持ちを言おうと、改めて強く思った。
愁が好き。
一緒にいたい。
だからもう、心に決めていた。
姫になる事。
(愁に会いたい!!)
会って、『好き』だと言いたい。
だから…天と向き合わないとならなかった。
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