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6日目 2
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颯人は椅子に腰掛け、何やら細かい作業をしていた。
「颯人先輩は、何をしているのですか?」
「コサージュを作ってる。昨日の咲のサイズの服に合うやつ」
「あ、それで白色」
手先が器用な颯人は、いとも簡単に作り上げた。
次は花の中央部分に、ピンクのハートを入れていた。
「ハートですか?」
「あぁ、うちのブランド名と一緒のマーク」
"颯人"が"hart"と、もじったいうブランド名を茉莉が命名したと言っていた。
それで、 "ハート"のマークを作品に入れるという事らしい。
「あのエロ教師のせいで、ダジャレみたいになっているけど」
エロ教師=茉莉という事。
とは言っているけど、颯人は嫌がってはいないようだった。
(憎まれ口を叩いていても、颯人先輩は茉莉ちゃん先生の事が大好きなのがわかる)
咲が、ふふっと笑った。
久しぶりに笑った気がした。
颯人がちらっと咲を見た。
「…手拭いサイズのタオルある?」
「…?ありますよ」
手でも汚れたのかな?と思い、新しいタオルを出した。
「…ちょっと濡らしてくる」
颯人は立ち上がり、この部屋に設置されている蛇口をひねり、お湯を出していた。
(手拭きを用意してた方が良かったのかな…?)
咲には手芸がわからないが、颯人の作る物が好きだ。
(愁も、颯人先輩の作品は好きみたいだし)
コサージュを手にして、咲は愁の事を考えていた。
颯人が戻って来る。
「咲、ちょっと横になって」
「え?」
持っていたコサージュを、慌ててテーブルに置こうとした。
「コサージュは持ってていいから」
颯人は、咲がコサージュを持っていても気にすることもなく、床に座った。
颯人の言っていることに疑問はあったが、とりあえず床に横になった。
「…あ、頭はここ」
颯人が指したのは、颯人自身の膝だった。
「え?えーっと?」
「いいから」
混乱していたが、颯人に引っ張られて頭を膝に乗せてしまった。
「あのっ!颯人先輩?!」
「俺の膝、固い?」
「いいえ、大丈夫です…けど」
(じゃなくて!)
咲は自分で突っ込んでしまった。
「目を瞑って」
「え?…わっ!」
渡したタオルが、目の前に突然見える。
慌てて目を瞑ると、体温よりも温かい温度のタオルを目に被せられた。
「…気持ち良いです」
「熱くない?」
「大丈夫です」
颯人は、さっき渡したタオルで咲の為にアイマスクとして使いたかったので、作ってくれたらしい。
「…でも、茉莉ちゃん先生に申し訳ないです」
だが颯人は、わかっていなかった。
「そうか?別に茉莉が疲れている時も、してやってるし」
「茉莉ちゃん先生と同じ事をしてもらうのは…気が引けます」
しかし、颯人は気にしていなかった。
「気にすることもないだろ?」
(茉莉ちゃん先生、ごめんなさい!!)
咲は心の中で茉莉に謝った。
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