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エピローグ 2 *咲side*
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ドレスを着たので化粧をしなければ変だと言われ、したことのない化粧を颯人に薄く塗ってもらった。
生徒全員が体育館に呼ばれ、体育館と廊下を繋ぐドアが閉められてから、咲は颯人と生徒会室から出てきた。
ベールダウンを颯人にしてもらった咲は、ドアの少し後ろで椅子に座りながら、呼ばれるのを待っていた。
緊張で身体がガタガタ震えている。
近くには、颯人がいた。
「咲、もうすぐ式が始まるけど…大丈夫か?」
「は…い」
返事はしたが、あからさまに顔色は悪い。
(僕が姫になって、去年の姫みたいに不快に思う人っているよね…。しかも式中に転んだら、愁も笑い者になるかもしれないし)
ぐるぐると、良くないことばかり考えてしまう。
颯人は、そんな咲の前に立て膝をして両手を握った。
「これから多くの生徒がいるが、愁は咲しか色付いていないんだ。愁にまだ、咲のドレス姿を見せていない。愁の為に壇上に上がれるよな?」
(そうだ…!)
愁に、この姿を見せていない。
(見せたら、どんな顔をしてくれるのかな?)
「絶対、気に入ってくれる。大好きな咲が俺の作った服を来てるんだから」
愁にとっては、最強コンビというわけだ。
「これで文句を言ったら、天も加えてボコボコにしてやる」
咲は笑ってしまった。
気持ちが楽になる。
「颯人先輩、ありがとうございます!!」
そう言うと、颯人に頭を撫でられた。
この学校に来て、よく頭を撫でられている。
もちろん、嫌ではない。
少し経ってから、ガチャッと目の前の体育館のドアが開いた。
歓声とともに、茉莉が出てくる。
「いや~!すごい、すごい」
茉莉が、慌ててドアを閉めた。
「すごい人気だな」
颯人が茉莉を見て言う。
「俺じゃない、咲だよ」
「へー、それはすごいな」
「今、舞台を整えている。愁がそわそわしていた」
ふふふっと、茉莉は楽しそうに笑った。
「あんな、愁は見たことがない」
「俺も見たかったな」
颯人も、びっくりしながら言った。
「さてと、そろそろ舞台が出来上がった頃だな」
茉莉が、腕時計を見て言った。
タイミング良く、体育館のマイクが入る音が聞こえた。
「茉莉ちゃん!準備が出来たよ!!」
演劇部部長の声が聞こえた。
これが合図だった。
「さてと、そろそろ行きますか」
茉莉が持っていたマイクのスイッチを入れる。
「後ろのドアに注目!!」
そう言い、マイクのスイッチを切ると茉莉が咲に右腕を出した。
咲は立ち上がって腕を取り、茉莉と颯人を見た。
2人共、咲を見て微笑みながら頷いた。
茉莉が颯人にマイクを渡す。
そして、ドアに手を伸ばした。
隙間から強い光が射し込み、顔にライトがあたる。
今まで聞いたことのない大きな歓声が、響き渡っていた。
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