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エピローグ 4
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だが、愁が自身の身体に引き寄せてくれて、転倒を免れた。
壇上で抱き合う形になってしまい、生徒達も先生達もその光景に一気に興奮して、歓声が沸き起こる。
(わーっ!やっぱり、やっちゃった…)
咲は泣きたくなるが、数日で何回も感じた愁の腕の中に安心していく。
愁が咲の身を起こしてくれて、掴んでいた右手を離して咲の頬に触れた。
咲は、そのまま愁を見上げると愁の唇が形を作った。
声を出さずに言う。
『すごく、綺麗だよ』
そう読めた瞬間、咲は顔が真っ赤になる。
(し、愁!!)
くすぐったいような、恥ずかしいような…でも、大好きな人に言われると嬉しい。
(愁、大好き)
『…ありがとう』
咲は微笑みながら声を出さずに唇の形で、お礼を言った。
お互いに笑いあっていると、マイクのスイッチが入り茉莉が話す。
「ラブラブなお2人さん!全校生徒がいる方を見て下さい。報道部が待ってますよ~」
慌てて正面を見ると、まだかまだかとカメラをこちらに向けられていた。
愁と咲はお互いに顔を見合わせてから、愁は咲に左腕を出した。
咲は右手を愁の左腕に絡ませて、愁の左側に立った。
そして、正面に身体を向けた。
「目線はこちらに!」
「こっちにもお願いします!!」
フラッシュが激しく光った。
報道部が興奮していて、カメラに収めようと必死にシャッターをきり、音が止まらなかった。
祭壇には茉莉が立っていて、声をかけた。
「…報道部、もういいか~?!姫就任式を始めたいんだが。愁と咲はこっちに」
愁が咲の身体を導いて、祭壇に向けた。
2人一緒に、ゆっくり祭壇へ歩いて行く。
周りが静かになった。
「では、これより姫就任式を始めます」
今までの茉莉の雰囲気が、ガラッと変わった。
茉莉は愁に向き直り、真剣な面持ちで問う。
「柏原愁。雨宮咲を姫として一緒に歩み、この学園の代表にふさわしい人になり生活していくことを誓いますか?」
姫制度の初期から続く、決まった台詞を茉莉は言った。
「…はい!私は雨宮咲を姫にし、学園の向上に務め、共に歩む事を誓います!!」
ハッキリとした口調で、愁はマイクを通して全校生徒に宣言をした。
今度は咲に向き直り、問う。
「雨宮咲。柏原愁の姫として一緒に歩み、この学園の代表にふさわしい人になり生活していくことを誓いますか?」
愁と同じ事を問われた。
(練習した通りに…)
緊張で口が乾く。
その時、咲が掴まっている愁の左腕の咲の右手に、愁自身の右手を重ねて触れた。
咲は、愁を見た。
『咲、大丈夫だよ』
愁の顔を見ると、口だけを動かして咲を安心させるように言っていた。
緊張が嘘のように無くなる。
(落ち着いてきた…よし!)
咲は正面に向き直り、茉莉の顔を見た。
茉莉が頷いた。
「はい!私は柏原愁の姫になり、学園の向上に務め、共に歩む事を誓います!!」
咲もマイクに向かい、ハッキリと宣言をした。
言ったあとに、自分が誇らしく感じた。
「「「オオ~~~~~ッ!!!!」」」
生徒全員と先生全員の今日一番の声が、体育館に響き渡る。
ビリビリッと空気が震えた。
「それでは!」
茉莉が声を大きくして、静かにするように促した。
「誓いのキスを」
茉莉が、愁と咲の顔を交互に見て言った。
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