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Act.12 イランイラン
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「腰、薬つけようね」
すっとオミさんの手が伸びてきました。ちょんと、指先で触られると。身体がピクンと反応してしまいます。
「やっぱり感度良いんだね」
やっぱりって……、「感度良いって」褒め言葉なのでしょうか?
多分そうですね。みんな嬉しそうな顔して言ってくれますから。
つつっと、何故か指先が腰の稜線をたどり始めました。
「肌のきめが細かいんだね、触りたくなる」
小さい声で耳元で囁かれると、身体が反り返ります。
「んっ……」
あ、つい声が出てしまいました。その瞬間にドスっと音がして目の前のオミさんが消えました。
「痛ってぇ……。ユズっ、お前何するんだよ」
「それはこっちの台詞!オミ、お前何してんだよ!将生も触られて変な声出さない」
えっと……何故かいつもと違って余裕ないですよ。香月さん?
「監督!こいつ外出しといてよ、仕事にならない」
香月さんは両手でがっつりと僕の身体を囲いこんで、離す気は無さそうですが。
「じゃあ……兄貴が仕事になれば良いんだよねえ?」
いきなり香月さんが、いつもの顔になりました。香月さんがアロマオイルの瓶を取り出して、開けるとふわっと甘い香りがします。
「イランイラン……なるほどね、催淫効果のあるアロマか。じゃあお手並み拝見と行こうかな」
オミさんが、ボソッと言っています。
「サンダルウッドと合わせてあるからね。将生、この香り嫌いじゃないでしょう」
あ、これ香月さんのシアタールームの香りですね。少し酔ったようなふわふわする気分になってきました。
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