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すると、レナードはすぐに茶碗を取って、まず香りを嗅いだ後、一口飲んだ。先程までの難しい顔が次第に和らいでいく。
「なるほど。香り立ちがいいし、美味いな。さっぱり系かと思えば、後から旨みが残る。だが、やはり八女茶のほうが俺の好みだ」
「それは最初から変わりありませんね」
いつも通りの答えに、悟はふと微笑んだ。
香りが上品だ。味が濃くて美味しい。特徴を捉えてひとつひとつ褒めるが、結局は一番初めの感動は変わらないらしい。
レナードは茶碗に再び口をつけ、茶托へと戻す。
「最初の衝撃というのは忘れられないものだ。でも色々飲んできたが、どれも美味いよ。作りが丁寧なだけある」
「日本人の私としては気に入っていただけて嬉しい限りでございます。では、朝食をお持ちいたします」
「待て」
悟が一礼をして部屋を出ようとすると、レナードに腕を掴まれ阻止されてしまった。
「何かございましたか……っあ!」
挙句には、その腕を引っ張られ、バランスを崩した悟の身体は、レナードへ思いっきり飛び込むかたちとなった。
「あの、レナード様……!」
その時に腕が山積みの書類に当たって落としてしまったのを見ていると「気にするな」と耳元で囁かれる。甘ったるい声だ。身じろぎしていた悟は、身体を強ばらせた。気づけば鼻腔がレナードらしい大人の男の匂いでいっぱいになっていて、頭がくらりとする。
「レナード様、からかうのはよしてください」
レナードは、慣れた手つきで、悟の顎を簡単に掬い持ち上げた。
そのままじっと見つめられて、いたたまれなくなった悟は視線を逸らす。しかし、それが気に入らなかったようで。
「からかっているつもりはない。サトル、こっちを向け。ちゃんと俺を見ろ」
困ったものだ。そう思いながら視線を元に戻せば、レナードは嬉しそうにニヤニヤと笑い、掬った顎を撫でてくる。それで、再び視線を逸らしたい気持ちになるが、ここはグッと堪えた。
きりっとした眉に、くっきり二重の綺麗な翡翠の目、鼻もすっきりとしていて形のいい唇。レナードは文句なしの美貌の持ち主だ。これだけの美貌を目にしておくと、正直、目の毒である。
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