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「アルバートォ! 買い出しだーっ! 手伝え、これは命令だ。もし逃げたら飯はないと思え」
ズカズカとやって来たのは、料理人のベンだ。さっきベンが発言した通り、手伝いの者を探しているようだ。
レナード家では、一気に食材を買って貯蔵しておく。そして、食材がなくなると、ベンが何人か連れて買い出しに行くという繰り返しだ。
アルバートはその一人に選ばれたらしい。
「えー、なんで!? 俺、ついこの間手伝いましたよ! ジョンにでも行かせてください」
アルバートの方はというと、よっぽど嫌らしい。ブーイングまでかましている。すると、ベンはアルバートの肩を組み、なにやら話し始めた。
ひそひそと話していて、内容などわかるはずもない。置いてけぼりの悟は目をパチパチとさせながら、二人の会話が終わるのを待っていた。
「おっ前、馬鹿か! サトルがいるんだから、この場ぐらい見栄張れよ!」
「だって……今からサトルさんに日本語教えてもらおうと思ってたのに、ベンさんが邪魔するから……」
「あ゛? お前、言うようになったじゃねえか。生意気なクソガキめ」
しかし、いつまでも待っているわけにはいかなくて。少し強引にアルバートとベンの間を割って入っていく。
「ちょっと、二人して何してんの」
「うわ……っ、サトルさん顔近い……!」
さすがアルバートは若いだけある。素早く反応して、悟から離れていった。そして、その様子を見てニヤニヤと悪い顔をしているベン。
何のやましい話をしていたのやら……。
悟は、大きくため息をつく。
「……で、手伝いに行くの? 行かないの?」
「ほれほれ」
「あー、もう。行きますよ!……サトルさん、日本語はあとからでいいですか?」
雰囲気にも流された部分もあり、アルバートはやけくそに答えた。悟に日本語を教えてもらうことが相当嬉しかったらしく、それが後回しになってしょんぼりとしている姿がまるで身体の大きい子犬だ。
こういう姿がどうしても可愛らしく見えて、甘やかしたくなる。
「もちろんだよ。はい、これノート。持ってたまんまだった」
悟はアルバートにノートを返して、頭をよしよしと撫でる。すると、アルバートの瞳が次第に輝き始めて。
「ベンさん……今なら何でも持てそうです……」
「頼りにしてるぜ、アルバート!」
アルバートがボソッと言った後、ベンは満足そうにガハハと大袈裟に笑った。
ああ、これは明日はアルバートの筋肉が悲鳴を上げているだろう。悟は密かに祈りを捧げた。
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