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鋭い刃が、悟の肌を貫く。
「いっ、ぁ゛……」
痛い。痛い。痛い。
ぶわっと瞳が濡れて、何度も涙の筋が頬をたどって。噛みちぎられそうなほどの強い力は、レナードの独占欲だ。
「……あ、あ」
「ああ、これは思ってたよりキツイな……こんなものを隠してたなんて、いけない子だ」
噛まれたことにより、フェロモン分泌線が刺激され、奥底に秘めていた悟のフェロモンが一気に溢れ出した。その誘惑的なフェロモンを敏感に感じ取ったレナードはが、苦し紛れに低く唸るような声で悟の耳元で囁く。
悟を自らの番とした。優越感に浸ったレナードは、そのまま悟の首筋へ顔を埋める。
しかし、──。
「っ、あああ……っ!」
悟自身、どういう行動をとったのかはわからない。
ただがむしゃらになってレナードから抜け出し、逃げていた。レナードの部屋を出て、走って。ひたすらに走って。
自分の部屋に着いて鍵をかけると、机の中を乱暴に漁った。そして、特効薬が入った注射器を握りしめて、腕へ近づける。
カタカタと震える手。これでは、上手いこと薬が入らない。どうか、止まってくれ。この薬さえ打ってしまえば、発情フェロモンは治まる。
しかし、握りしめていた注射器はカシャンという音を立てて、床へ落ちただけだった。
一人になって自覚していく。速くて止まらない動悸。はあ、はあ、と色めいた吐息。痛みを感じるほど、はちきれんばかりに膨らんだ股間。熱い。苦しい。
レナードが、欲しくてたまらない。
「ちが、う……」
震える声で否定を唱えても、その言葉は意味を成さなかった。ポタ、ポタ、と雫が床に落ちていく。涙なのか、汗なのか。考える暇もない。
恐る恐るベルトを緩めて、スラックスを寛げようとすると、部屋の扉をノックされた。まるで悪いことをして、それがバレた時のように、悟の身体が大きく揺れる。
「サトル……」
声を聞かなくても、溢れんばかりのフェロモンで部屋の前に立っているのはレナードだと理解出来た。
「レナード様……」
悟は小さく呟く。ヨロヨロと助けを求めるように、扉へ向かった。近づけば近づくほど強く感じるレナードのフェロモンが心地よく感じて。
「サトル、扉を開けてくれ」
余裕のないレナードの声が耳を震わせる。洗脳されたように、悟の手は扉の鍵へ伸びていた。指先に冷えた感触。その感覚が少しだけ悟の意識を戻して、頭の中では警告音が鳴り、鍵を握る手はカタカタと震え始める。
「だめ……だめ、」
わかってる。わかってるのに。
それを聞かない愚かな手は、鍵を解錠していた。
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