アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
41
-
咲良は口の中にあるミントタブレットを噛み砕くと、再び新しいのを口に入れた。
「そんなに大切に想っているのに、なんでこう上手くいかないかね」
「その大切っていうのが、主としてだからですよ」
「せっかくレナード様から愛されてる上で番までなったのに、勿体ないことをするもんだ。悟、お前さ自分の身体から、どれだけレナード様のフェロモンが匂うのかわかってるのか?」
「匂う……?」
咲良にそう言われて、悟は目を丸くする。
それもそうだ。悟には、咲良が言うそのフェロモンを感じていないのだから。
「とぼけるな。αは自分のΩを独占するために、交尾時に自らのフェロモンをΩに移すことぐらい知ってるだろ。そのマーキングが強いって言ってるんだ」
「え……嘘。そんなに……?」
咲良が言っていることは知っている。
確かに、レナードのフェロモンを感じないのは不自然だと、どこかしらで思っていた。あれだけ奪うように行われたセックスで。αらしいレナードの性格で、それでも匂いをつけないのは何か理由があるのだと思ったのだ。それも、表に出ないよう隠すためだと。
「気づいてなかったのか? フェロモンに敏感なお前が珍しい」
「逢見さん、そんなに匂いますか? 本当に全然わからなくて……どうしよう」
くん、と悟は腕など肌を近づけて嗅いでみるが、やはりレナードのフェロモンは感じなくて。それだけ馴染んでいるのだろうか。
「移ったフェロモンは単なるマーキングのためだからどうしようもないが……まあ、そのレナード様らしい独占欲だな」
かあ、と悟の頬が熱くなった。それを隠すようにうずくまる。
知らず知らずに、レナードのフェロモンを垂れ流しにして、自分はレナードのものだと主張していたのだと思うと、恥ずかしい。使用人たちはβが多いため、フェロモンはほとんど感じないはず。しかし、もしも悟を見る視線はレナードのフェロモンに気づいてのためのものだとすると、合わせる顔がない。
「晴臣様の時はそうでもなかったのに……薬効かないほどにフェロモンが強いから? そんなに匂いつくようなことした?」
「……お前は何を言ってるんだ? 相当、動揺してるな」
「……わかりません。自分が何を言ってるのか、わかりません」
「一応言っておくが、薬ではどうにもならないからな。変な使い方するなよ」
羞恥から顔を手で覆う悟に、咲良は淡々と答えた。それに悟は頷くが、何かに気づいてハッとしたように顔を上げる。
「……もしかして、さっきからミントタブレット口に運んでるのは、この匂い紛らわすためですか? 匂い、きついですか?」
「違う、そうじゃない。ただ口惜しいだけだ。悟の思うそれは思い込みだから安心しろ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 314