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コンコン、とノック音が鳴り、悟の部屋の扉が開く。
「サトルさん、食事を持ってきましたよ」
入ってきたのはアルバートで、食事の乗ったトレーを近くの机に置く。
「ありがとう、アルバート」
悟は屋敷の財産管理の関係で、昼過ぎ頃から部屋に籠っていた。事務作業をしていると時間が経過するのがあっという間で、もうそんな時間か、と窓のほうを見ると確かに真っ暗になっていた。
グッと背伸びをすると、固まっていた身体が解れて肩や背中が軋むように痛むが、それが気持ちいい。再び作業に戻ろうとすると、アルバートが話しかけてくる。
「まだ続けるのですか?」
「そうだね。これだけ終わらせておきたいんだ」
「そうですか……じゃあ、戸締りと消灯してきます」
そう言ってアルバートは微笑み、部屋を出ていってしまった。
あれからアルバートは、補助として悟につきっきりで働いてくれている。よく気づき、悟が気づけば真っ先に行動に出る。新しいことを教えれば、日本語を学ぶ時のように楽しそうな顔をして。ここ最近では、悟以上の働きを見せてくれていた。
だが、悟は一つ気になっていたことがあった。
「戻りました。戸締りと消灯、無事完了しました。ところでサトルさん、ついでに酒類の在庫を見てきたのですが……」
アルバートが早々と戻ってきて、悟に報告しようとする。その姿を見つめると、悟が気になっていたこと──やっぱり前より痩せたような気がしてならなかった。
「サトルさん?」
「ああ、ごめん……。ねえ、アルバート少し痩せた?」
「そうですか? 変わらないと思いますけどね……」
アルバートは笑いながら首を傾げて、腹を擦る。
そこで身体のラインが少し見えて、着ているシャツやベストに余裕が出来ているのがわかった。
「ちゃんと食べてる?」
「勿論です……あ、」
そして、これは良いタイミングか、悪いタイミングなのか。ぐう、と、ちょうどアルバートの腹の虫が鳴って。
ろくに食事を食べてないのか、そもそも出されてないのか。悟は、そのどちらか問い詰めることまでしなかったが、アルバートが先程運んできた食事のトレーを差し出した。
「駄目だ、アルバート。無理しないで……これ食べて」
「それはサトルさんの分ですよ。サトルさんこそ、ちゃんと食べてください」
「ここは譲れない。頼む……」
悟が頼み込むと、アルバートはチラチラと悟を見ながら考える。そして、少し時間が経つと観念したようで、項垂れながら口を開いた。
「……うう。じゃあ、半分こです」
「うん」
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