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「ええ、ご希望となら何度でも。貴方は晴臣様とは違う。Ωを力で支配しようとするαらしい人」
「サトル、お前……!」
レナードが悟の腕を取り引き寄せようとすると、悟は強引にそれを振りほどく。
「すべて貴方を想ってのことです! 貴方ほどの実力を持った方がこんなところで躓いてはなりません! どうかご理解ください。どうか、考えを改めてください……」
悟の悲痛な声は部屋中に響いた。静まり返る空間。窓が開いているのか、夜の涼しい風が入ってきてそれに乗ってカーテンがゆらゆらと揺れている。
レナードはそれ以上何も言わなくて、ただ俯いていた。振り払われた手は拳を作って。
一つ深呼吸をして、悟は静かに言葉を紡ぐ。
「……お話は以上でしょうか。それでしたら、私はこれにて失礼いたします」
「待て!」
悟がレナードに背を向けると、背後から衝撃が走って。背中に暖かい体温を感じた。たくましい腕が回ってきて、抱き締められている。
「なぜだ……なぜ、ハルオミは受け入れて俺はいけないんだ? 俺が普通のどこにでもいるαだったら、俺を好きになってくれていたか? 愛してくれたか?」
「もし、そうだと言ったら貴方はそうしそうで怖いですね……なりませんよ。私は晴臣様という人すべてに惹かれたのです。私の番は、晴臣様だけ」
離さないように、力強くギュッと包まれる。首筋に顔を埋められ、当たる吐息は熱い。
悟は苦笑して、レナードの手に自分の手を重ねた。
本当はどうなっていたんだろう。何もしがらみがなく、自由に恋愛が出来たら。それは、誰にもわからない。
けど、──。
懐かしい空気、懐かしい言葉。もし、あの人に答えを返すなら、この人です、と答えたのかもしれない。
再び悟はレナードのほうへ向いて、手のひらをレナードの頬へ触れさせた。
「レナード様、番を強制解除していただけませんか?」
「……それは駄目だ」
今度は、その上にレナードの手が重なってきたかと思うと、柔らかく握られる。
「いずれ、お考えください」
「駄目だ、駄目だ……お前を手放したくない。第一、そうなったら一番辛いのはサトルじゃないか」
「構いません」
「何馬鹿なことを……俺は認めない」
番の解除はΩにとって十分重いことだ。強制的に切り離すことによって、精神的ストレスに番はもう作れなくなる。しかし、それでも訪れる発情期。それが死ぬまで一生続くのだ。
それなのに、平気だと言う悟にレナードは顔を顰めた。
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