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その後、悟は応接間を早々に片付けて、晴臣の部屋に行く。
扉を開けると、部屋に明かりはついていなくて。暗い部屋に、窓からは月明かりが差し込んでいた。
晴臣は、窓の外を眺めている。いつも見る光景だ。そして、悟が来たことに気づいて振り向いては、優しく微笑んで出迎える。
「晴臣様……っ!」
あの日の夜を思い出す。晴臣の病を知ったあの日。儚げな姿はすぐにでも遠くに行ってしまいそう。
怖い。どこにも行かないで──。
気づいた時には悟は駆け出していて、晴臣の胸に飛び込んでいた。
ぎゅっと抱き締めて、全身で晴臣を感じる。大丈夫だ。晴臣は、こうやってそばにいるじゃないか。そう思うようにして、無理にでも不安を和らげていく。
「わっ、今日はちょっと大胆だね?」
晴臣にそう言われてハッとした悟は、急ぎ晴臣から離れた。今思えば、なんて恥ずかしいことをしたんだ、と過去の自分が羞恥心を煽る。
「あっ……すみません、いきなり。大丈夫でしたか?」
「うん、これくらいどうってことないよ。むしろ大歓迎です」
だから、そのまま抱き締めててね、と今度は晴臣が悟を引き寄せた。
最初は驚いた様子の晴臣だったが、颯爽と形勢逆転に入って。可愛かったよとか、そういう悟も好きだよなんて言われると、もう瞬殺で悟は顔を真っ赤にして、それを隠すために晴臣の胸板に埋もれた。
「ああ、本当にすみません。なんだか晴臣様が遠い人に見えて……」
「悟はそうやってすぐ俺を殺そうとするんだから」
「え! そ、そういうつもりはなかったんです!」
「ん、わかってる。心配ありがとう……キスさせて?」
うう、と渋りつつ、悟は顔を上げる。
キスはしたい。こんな欲まで持ってしまって、はしたない。けど、晴臣と共有する時間は、これ以上ないほどに心地よいものだ。
コツン、と額同士があたり、見つめ合う。晴臣が笑顔を見せると、悟も自然と笑みが零れて。
「愛してるよ、悟」
「私も晴臣様のことをお慕いしております」
唇の代わりに、頬が触れ合う。
どちらの頬も熱くて擦り合わせれば、ちょっとした快感が身体の中を走った。口づけの角度を変える時のように、片方の頬に満足したらもう片方へと両頬を愛でる。
すると、期待を込めてか、悟からは鼻から抜けるような声が聞こえてきて。色のついた声に、晴臣も胸を高鳴らせた。
そして、その期待に応えるように晴臣の手はシャツをスラックスから乱して、そこから悟の背中へ侵入する。触れた肌は温かくて、なめらかだ。
「あ、晴臣様……」
そっと愛撫してやれば、可愛らしい甘えたような声が聞こえてくる。
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