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唇は軽く重なる。とても初々しい口づけだ。薄い皮膚から伝わる晴臣の体温や、ふっくらした唇の感触に悟はやたらとドキドキした。これが晴臣と初めてする本物の口づけだから。
ちゅ、と小さなリップ音を鳴らし、悟はゆっくり唇を離す。
気持ちが昂って、晴臣の名を口にしようとすると、いきなり視界が反転した。晴臣の先には天井があって、背中には床があたっている。
「んっ……!」
そして、今度は晴臣から半ば強引に唇を奪われて。簡単に舌で唇を割られて、濃厚なものへ繋がっていく。
初めは強引だったくせに、中への愛撫はとても丁寧だった。そこが晴臣らしい。特に上顎へ触れられるとたまらなくて、悟からは鼻から抜けるような声が漏れる。
「ん、は……ぁっ」
「まだだよ」
「んんっ!」
お互い強請るように深まるキスに、卑猥な濡れた音。情欲は高まるばかりだ。
それに、一番高め合ったのは、お互いのフェロモンだった。口づけをするまで微かにしか感じなかった晴臣のフェロモンは、強く香っている。それは押さえられた時の威圧的のようなものではなく、甘い毒に似た痺れるような誘惑的なものだった。
口づけを一通り終えて唇が離れれば糸が二人を繋いで、ふと晴臣の口角が上がる。
「馬鹿だね……ここには出来ないって言ったでしょ。ここだけは奪わないって決めてたのにな……これで悟のすべてを奪っちゃったね」
「晴臣様……」
「もう止められないからね」
シュルっとネクタイが解かれて、燕尾服やベストの釦が次々と外されていく。悟の咄嗟に晴臣の袖を掴んだ。
「あ……待って」
「なに? もしかして、ここに来てお預けくらうのかな」
「そうじゃなくて……キス、だめでしたか?」
そう言えば、晴臣はふふっと笑って軽い口づけを落としてくる。それから、悪戯っぽく聞いてきて。
「駄目じゃないよ。もっとしたい?」
「……はい」
悟も応えるように、晴臣の首へ自らの腕を回した。
コツン、と額同士があたり、フェロモンを確かめ合う。悟と晴臣と二人のものが混ざり合って、尋常じゃないくらいの居心地の良さを感じた。
「欲張りさんだね……でも、もっと欲しがってよ、悟」
「晴臣様も欲しがってください……」
すると、晴臣はおかしそうに笑う。
「俺は元々、欲張りなんだよ」
再び吸い寄せられるように重なる唇。回数を重ねるごとに、だんだんと淫らな行為になっていく。
それは悟が快楽の波に飲まれる簡単なことで、瞳を閉じて晴臣のなすがままに身を委ねた。
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