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「へえ。じゃあ、晴れて恋人ってわけだな」
採血が終わり、咲良はテーブルのほうへ戻っていく。そこには特殊な機械が置いてあり、先程採った血液を通していく。
「恋人……ではないです。番契約を認めただけ……」
「なんだそれ。早くも結婚まで決めたのかと思った」
「そこまではさすがに……」
レナードを恋人という意味での好きは、まだなにか違う気がする。
やっと一歩踏み出せたのだ。レナードを信じてみるという道を。しかし、どんな道かもわからないし、どう歩んでいけばいいのかもわかっていない状態で。
確かに番になったのならば、結婚というのも視野に入ってくるのだろうが、悟の思考はまだそこに至っていなかった。
悟は撫でていたシーツを握り、咲良へ恐る恐る聞く。
「あの、逢見さん」
「どうした?」
「晴臣様は……晴臣様は許してくださるでしょうか」
幸せになれと言ってくれた晴臣。
それでも、悟の中にはしっかりと晴臣という存在が刻まれているし、晴臣を裏切っていないだろうかと時々罪悪感を感じてしまうのだ。晴臣が好き。それは変わらない。しかし、レナードとのことを考えると、気持ちが揺れてしまう。
不安で俯く悟に咲良は、なんだそんなことかと、ふっと笑ってみせる。
「それ、俺に聞くまでもないんじゃないか? 答えがわかっているから、レナード様と番契約を認めたんだろ。……早くあいつを安心させてやってくれよ」
咲良は優しい言葉を紡いだ。その声がジンと響いて、やっぱり涙腺がおかしくなってると悟は思う。
その時だった。
突如、部屋の扉が荒々しく開いて。悟は現れた人物に驚きを隠しきれなかった。
「え……レナード様……!?」
現れたのは、なんとレナードだった。
「サクラ、連絡をくれるなら、もう少し早く連絡をくれ。それで検査結果は出たのか?」
「レナード様、仕事ではないのですか……!?」
「こっちのほうが重要だろう。安心しろ、結果さえ聞けばすぐに戻る」
驚きすぎて、呆然とする。なんで。どういうこと。頭がついていかない。
それより、咲良はレナードに連絡をしていた。ということは、ここにいるのかと思ったと先程言っていたのは、そういう意味だったのか。なんだか嵌められたような気分だ。
悟は、ニヤニヤと笑っている咲良をキッと睨みつける。
「逢見さん……っ!」
「愛だねえ……」
しかし、咲良は表情を変えず、むしろ穏やかに笑って悟をからかうだけだった。
そして、レナードはというと二人が日本語で話しているため、その会話に入っていけず、首を傾げていた。
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